店舗設計

こだわりの内装を作り上げる前に、確認しておきたい店舗設計時の基本

開店ポータル編集部
2018/09/13
 飲食店を営業するために必要な保健所の営業許可。古民家カフェなどでみられるおしゃれなスケルトン天井など、思い描いた理想の内装にこだわったとしても、保健所の許可がおりなければ、営業をはじめられないことをご存じでしょうか。店舗を設計する際は、定められている基準を満たすことを忘れてはいけません。では、キッチンやホールをどのように設計するとよいのでしょうか。

基本的な店舗設計の基準とは?

 保健所の基準は自治体によって違いますが、どの自治体も「衛生的であるかどうか」を重視して施設を確認します。東京都福祉保健局が公開している基本的な基準は以下になります。
・床、内壁、天井は耐水性で清掃しやすいかどうか
 とくにキッチンの床は、コンクリートやタイルなどの排水にすぐれたもので清掃しやすいものがベストです。ショッピングモールやデパート内で営業する場合は、ドライキッチンであることが条件になっていることもあります。
・換気扇等など換気ができる環境であるか
・ねずみや虫などの防除設備は整っているか
・洗浄設備は整っているか

 食品・食器類に関する洗浄設備と従業員の手洗いや消毒設備が必要です。
・清潔な更衣室はあるか

 さらにこの基準に加えて、喫茶店飲食店かによってそれぞれ店舗設計の基準が定められています。喫茶店よりも飲食店の方が基準は厳しくなっています。まず、喫茶店の基準は以下のとおりです。
■キッチン
・十分な大きさの冷蔵庫はあるか(温度計は設置されているか)

■ホール
・客室には換気設備があるか
・明るさは10ルクス以上あるか
・客用のトイレはあるか


 飲食店の場合は、上記の基準に加えてキッチンに関する下記の基準もクリアする必要があります。
・洗浄槽は2槽以上あるか(自動洗浄設備がある場合は1槽でも可)
・消毒のための給湯設備はあるか

スタッフが働きやすく来店客が心地よいホールの設計ポイントは?

 入り口から客席までスムーズに移動できるように客席を配置し、スタッフが無駄な動きをしなくてすむように動線を考える必要があります。まずは、お客様が入り口から客席に座り、トイレと席を往復する動線と、レジで会計をする動線を考えましょう。
 一般的に、人が通るスペースとして80cm程は必要とされています。すれ違うことを考えると、120cm程は欲しいところです。通路幅の規定は、業態や規模、収容人員や非難経路によって異なるので、あらかじめ管轄の消防署に相談をするなどしてから設計に取り掛かりましょう。
 また、従業員に無駄な動きをさせないようにする工夫も必要です。席への案内やオーダー、配膳がスムーズであることは店の好感度を上げる重要なポイントです。また、客席の空調やトイレの入口が視界に入らないようにするなど配慮した設計も求められます。

大切なのはしっかりと確認をとること

 店舗設計時においては、保健所や消防署などの基準を満たしているか、しっかりと確認をとることが重要です。その上で従業員や来店客の動線を考えて設計に取りかかりしましょう。「なんとなく居心地が悪い。」「圧迫感がある。」「料理の提供が遅い。」などの問題は、設計時の工夫によって解決できる場合もあります。繁盛店を訪れ、どのように店舗が設計されているのか参考にしてみてもよいですね。


 
開店ポータル編集部
2018/09/13