開業手続き

飲食店開業のために必要な手続き~深夜における酒類提供飲食店営業開始届出~【警察署編】

開店ポータル編集部
2018/05/23
 飲食店を開業するにあたって待ちうける、さまざまな手続き。税務署に届け出るもの、保健所に届け出るもの、消防署に届け出るもの…それだけで安心してはいけません。あなたのお店では、どんなサービスを提供しますか?営業は何時までおこないますか?本記事では、午前0時以降にお酒を提供するお店が“警察署”に届け出なければならない“深夜における酒類提供飲食店営業開始届出”や守らなければならないルールについてみていきましょう。

“深夜における酒類提供飲食店営業開始届出”とは


 午前0時以降もお酒を提供する飲食店の場合、“飲食店営業許可(保健所へ届出)”にプラスして、“深夜における酒類提供飲食店営業の開始届出”が必要になります。風営法では深夜の定義は“午前0時から午前6時”。この届出は、深夜営業を行っており、かつ酒類をメインで提供している場合に必要な届出になります。
 

■届出が必要な飲食店

 居酒屋やバー、スナックは、多くの場合、午前0時を過ぎてもお酒を提供しますよね。そのようなお店の場合には、提出が必須となります。該当する場合には、営業を始める10日前までには届出書を管轄の警察署へ提出しましょう。
 

■届出不要の飲食店

 もちろん、営業時間が午前0時を越えない飲食店であれば、届出の必要はありません。営業時間が夜11時までであったり、またはドリンクのラストオーダーが夜11時30分までのお店などは、届出不要ということです。
 また、営業時間が午前0時を超える場合でも、届出の必要がないケースもあります。通常、“主食”とされる食事を中心に提供している飲食店は届出が不要の扱いとなります。米や麺、パンなどをメインとして提供している飲食店が該当します。例えば定食店やラーメン店、ファミリーレストランなどです。
 ここで気を付けなくてはいけないのが、“主食を中心に扱う飲食店”であるかどうかの判断です。明確な線引きがあるわけではないので、必ず事前に管轄の警察署に問い合わせをするようにしましょう。


守らなければならないルール


 深夜にアルコールを提供するお店を始めたい時には、ただ届出を提出すれば良いというだけではありません。守らなければならないルールがあります。

①用途地域によっては深夜酒類営業ができない

 “用途地域”とは、都市計画法により住居や商業、工業など土地の利用方法を定められたもので、12種類に分類されています。用途地域に関しては、各自治体のホームページなどで確認することができます。

<深夜酒類営業可能地域>
 ・商業地域
 ・近隣商業地域
 (・準工業地域・工業地域・工業専用地域)

<深夜酒類営業一部可能地域>
 ・第一種住居地域
 ・第二種住居地域
 ・準住居地域

<深夜酒類営業禁止地域>
 ・第一種低層住居専用地域
 ・第二種低層住居専用地域
 ・第一種中高層住居専用地域
 ・第二種中高層住居専用地域

 基本的には、商業地域や近隣商業地域であれば営業は可能です。工業系地域でも可能ですが、そこに店を構えることはまずないでしょう。“住居地域”では一部の地域では営業できるよう、条例が定められている場合もあります。そして“住居専用地域”では深夜酒類営業はできません。物件を探す際に、不動産屋へ必ず聞くようにしてください。
 

②内装や設備などの基準を満たさなければならない

 店内についても細かい基準が設けられています。内装を設計する際には、事前に管轄の警察署へ確認することを忘れないようにしてください。届け出る際はもちろん、営業を続ける限り維持していかなければなりません。

<基準例>
 ・客室の床面積は、1部屋あたり9.5平方メートル以上あること
 ・客室の内部に、見通しを妨げる設備を置かないこと
 ・善良な風俗を害する恐れがある写真やポスター、装飾設備がないこと
 ・客室の出入り口に施錠設備がないこと
 ・客室の照度が20ルクス以上であること
 ・騒音や振動の数値が、条例で定める基準値以下であること
 

③営業所には従業者名簿を備えておく

 営業所ごとに、本人確認書類と共に従業者名簿を備えておかなければなりません。従業員が退職した日から、3年間店舗で保管しておく義務(風営法)があるので、きちんと作成しましょう。実際の名簿を作成するにあたっては、風営法や内閣府令、施行規則等をしっかりと読み込み、不備のないようにしてください。

<必須記載事項>
 ・氏名
 ・住所
 ・性別
 ・生年月日
 ・採用年月日
 ・業務内容
 ・退職または解雇の年月日(解雇理由)
 ・死亡年月日(原因)

<本人確認書類(日本人)>
 ・生年月日と本籍地の都道府県名が記載された住民票記載事項証明書
 ・パスポート
 ・生年月日および本籍地都道府県名が記載された観光庁発行の書類その他これに類するもの

<本人確認書類(外国人)>
 ・在留カード
 ・パスポート、難民旅行証明書等
 

④午前0時時以降に“遊興させる”ことはNG

 午前0時以降は、お客様に遊興させてはいけないというルールがあります。お客様が自発的に遊興するのではなく、お店側が積極的にすすめる形でお客様に遊興させることを禁じています。お客様同士で行う分には遊興にはあたりません。

<遊興例>
 ・不特定多数のお客様に、歌やダンス、映画などの興行等を見せる行為
 ・生バンドの演奏などをお客様に聞かせる行為
 ・不特定のお客様にカラオケを歌うことをすすめる行為 など
 

⑤接待行為の禁止

 風営法上、“接待“とは“歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと”と定められています。以下に具体例を挙げましょう。

<接待例>
 ・特定のお客様の席について継続して話をしたり、お酌をしたりする行為
 ・特定のお客様に歌や踊りを聞かせたり見せたりする行為
 ・特定のお客様に歌を歌うよう勧めたり、歌っているときに手拍子や楽器で盛り上げたりするような行為
 ・お客様と一緒にゲームや競技をする行為
 ・お客様と身体を密着させたりする行為

 これらの“接待”を行う場合は、必ず“風俗営業許可”が必要になるので注意が必要です。

必要書類と提出方法


 必要な書類を揃えたら、店舗所在地を管轄する警察署へ提出します。郵送やインターネットでの受付はしていません。直接警察署の窓口での手続きが必要になります。また、一般的に事務手続きに手数料はかかりません。

<必要書類>
 ・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
 ・営業内容に関する書類
 ・店舗の平面図
 ・届出者の本籍地記載がある住民票の写し
 ・定款、法人登記事項証明書と全役員の住民票(法人の場合)
 (風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令第24条)

ルールを守った店舗運営を

   
 このように、午前0時を超えてアルコール類の提供をメインとする飲食店の場合、警察署への届出が必要なことに加えて、さまざまなルールが存在します。違反行為があった場合は、罰金刑を科せられることも。また、接待をおこなっていた場合は“風俗営業”を無許可で行っていたとして摘発され、その場で逮捕されるというケースもあります。
 あなたのお店では、どのようなサービスを提供しますか?営業は何時までおこないますか?お店を開く場所は深夜営業が可能な地域ですか?開店後にトラブルが起こらないように、届出を提出し規定を守りながら店舗運営をおこないましょう。 

 
開店ポータル編集部
2018/05/23