経営支援

コロナ禍の「サブスク」飲食店のメリットは?導入事例5選

開店ポータル編集部
2020/10/27

 

新型コロナウイルスの影響は、日本経済に大きなショックを与えました。とくに不特定多数が密接することが多い飲食業界は、休業や時短営業を余儀なくされ、未だ売上が戻らない店舗は多いでしょう。

厳しい状況が続く飲食業界ですが、業績回復の切り札として「サブスクリプション」の提供を開始するケースが増えてきています。サブスクは「消費者がお得に商品を購入できる」という面が注目されがちですが、飲食店にとってもサブスクを導入するメリットがあります。

そこで本記事では、飲食店がサブスクを導入するべき理由や、サブスクの成功事例を紹介していきます。


サブスクとは?

サブスクは「サブスクリプション」の略で、定額制サービスを指す言葉です。「Amazon Prime」や「Spotify」などのエンタメ業界のサブスクリプションはイメージしやすいかもしれません。月額費用を払えば、映画や動画が毎日楽しめるため、1度は利用したことがあるという方も多いでしょう。その他にも、アパレル業界などの事業規模が大きく、ブランド力のある企業のサブスクが広まってきています。

 

飲食店のサブスクとは

エンタメやアパレル業界と異なり、中小規模の店舗が多い飲食業界は、来店する顧客管理の難しさからサブスクの普及が遅れていました。飲食業界にサブスクが広まったのは、飲食店サブスク支援サービス「favy(ファビー)」の登場がきっかけです。「ファビー」は、飲食店の黒字経営を支援するサブスクモデルを提供しています。また、サブスクは会員登録した顧客のデータを蓄積・分析することが可能なため、飲食店のマーケティングとしても有効です。

 

飲食店がサブスクを導入するメリット

売って終わりのビジネスモデルではなく、売ってから関係性が構築されるサブスクは、中長期的な顧客とのつながりを生むでしょう。ここからは、サブスクを飲食店が採用することで得られる3つのメリットを紹介していきます。


 

・収入の安定化

従来の飲食店では、注文合計額が売上になることが一般的です。そのため天気や曜日によっては、1日の売り上げが左右される場合もありました。ところがサブスク型の飲食店では、サブスクに登録している会員券の売上が固定収入となります。来店数が落ち込んだ月であっても、安定的な収益が得られるのは、売上予測が建てやすく経営者にとって助けになるでしょう。


 

・来店頻度が増えるから売上アップに繋がる

サブスク会員になった顧客は、よりお得に利用したいという気持ちから、来店頻度が増えていきます。サブスクの仕組みにもよりますが、来店のたびに利益につながるサブスクであれば、会員と飲食店双方にとってメリットに繋がります。これによって、リピーターを増やすことができれば、売り上げアップも期待できるでしょう。

 

・顧客へのアプローチができる

飲食店は顧客のデータを得ることが難しい業種と指摘されていました。しかしサブスクであれば、会員登録時に名前や連絡先、生年月日を入力するため、会員情報を入手できます。サブスクで得た顧客情報を基に、新メニューのお知らせやキャンペーン告知を配信すれば、さらなるリピート率アップが期待できるでしょう。また購入した顧客のデータから、商品が売れる時間帯や、人気メニューの統計を取りやすくなります。分析した統計データをもとに、今後のメニュー開発にも役立つはずです。



サブスクを導入した飲食店

サブスクはストック型の収益が得られるため、安定経営が見込むことが出来ます。サブスクの登場によって、これまで都度商品を販売して収益を得ていた飲食業界に、大きな革新を起きました。こちらではサブスクを導入に成功した店舗の事例を紹介していきます。


 

・【居酒屋】:ビストロ酒場CRAFT×CRAFT

東京・赤羽に店を構える「ビストロ酒場CRAFT×CRAFT」は、月2,980円で1日1杯クラフトビールが無料になるサブスクを開発しました。このサブスクは、来店数が増えるごとに黒字化する仕組みを採用しており、会員と店舗双方にメリットがあります。サブスクを導入したことで、店舗の来店頻度は、月平均「7回」にアップし、サブスクのおかげでカウンター席が埋まり、活気のある店舗となりました。


 

・【定食屋】:焼魚食堂 魚角 

東京・学芸大学付近に店舗を構える「焼魚食堂 魚角」では、月980円で全テイクアウト商品が半額になるサブスクを提供しています。もともとあったテイクアウト事業を強化するために、サブスクを始めました。サブスクの導入によって、なんと昨対比154%を達成したといいます。1日に2回来店するユーザーや、まとめ買いのユーザーも増加しました。

 

・【焼肉屋】:焼肉・ホルモン料理 とらじ亭

東京・日暮里にある「焼肉・ホルモン料理 とらじ亭」は、月2,980円で月額飲み放題会員を募集しています。サブスク会員になることで、2時間の飲み放題が月に何度でも楽しめます。一般的な居酒屋や焼き肉店では、一回の飲み放題料金が1,000円から1,500円程度のことも多いですので、お客側からすると、非常にメリットのあるサービスであるといえるでしょう。

ちなみに、同サブスクサービスでは来店時に1品以上の注文する仕組みとなっており、きちんと売り上げ収益につなげることも可能です。
 

・【アイスクリーム】:HiOLI

東京・目黒にある「HiOLI」は、月2,700円で季節のフレーバーアイスクリームが自宅に届くEC型のサブスクを提供しています。アイスクリームの容量は、473ミリリットルと大きめサイズで、何日にも分けてアイスクリームを楽しむことが出来ます。店舗とECサイトの2軸で運営するため、顧客との接点を増やすことに成功しました。
 

・【カフェ】:コーヒーマフィア

都内3か所に店舗がある「コーヒーマフィア」は、3種類のサブスクを展開しています。月6,500円、4,800円、3,000円の中から選ぶことが出来るので、利用頻度や財布の事情に合わせたコースが選べます。6,500円のプレミアムコースは、スムージーやコーヒーなどの全てのドリンクを毎日1杯無料になります。


 

コロナ禍からV字回復する飲食店の共通ポイント

 

新型コロナウイルスの影響により、飲食業界の売上が落ち込んでいます。しかし少しずつ売上を回復させている店舗には、共通ポイントあります。それは「立地以外の魅力があること」です。デリバリーが増えた昨今では、立地に関係なく店舗やメニューの魅力を重視するようになりました。そのため、他にはない看板メニューがある店舗の売り上げは、今後も回復していくでしょう。

 

また「スタッフが魅力的」という点も大切です。新型コロナウイルスの感染予防のため、人との接触が減っている現在は、孤独を感じやすくなっています。そのため魅力的なスタッフが揃う飲食店では、繋がりや絆が来店動機となり、リピーター獲得に繋がっています。

 

インバウンドで「コト消費」が注目されたように、コロナ禍の飲食業界では、メニューやスタッフの「魅力」に人が集まるようになっているのかもしれません。


 

まとめ

飲食店のサブスクは、これまでのビジネスモデルから脱却し、経営安定化を見込めるサービスです。しかしサブスクのメリットは、売上アップだけがメリットではありません。サブスクをきっかけとして顧客を囲い込むことで、飲食店と顧客の絆を構築することが可能となります。つまりサブスクは、リピート客を育てるという点で効果的なサービスといえるでしょう。

 

今後飲食店を開業する方はもちろん、既存店舗に関してもリピート顧客の獲得は売り上げアップにつなげる重要なポイントとなりますので、是非サブスクを導入し、固定収益を増やす取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

 

開店ポータル編集部
2020/10/27