事業譲渡

飲食店による小規模M&Aのポイントとメリット・デメリットについて解説

開店ポータル編集部
2020/12/30

近年では、規模を問わず飲食業界のM&Aも盛んに行われるようになりました。特に個人事業主が経営する小規模飲食店のM&Aは、一般のサラリーマンも手が届きやすい価額で取引されていることから、注目を集めています。

 

そこで、本記事では飲食店による小規模M&Aを実施するポイントを、売却側の目線でメリット・デメリットをご紹介していきましょう。

飲食店による小規模M&Aとは

飲食業界によるM&Aのなかでも、個人事業主の飲食店や規模の小さい飲食店の売買を、『小規模M&A』といいます。この、小規模M&Aは、法人格をもった企業相手だけでなく、個人を相手に行われることもあるのが特徴で、後継者不足に悩んでいる事業者やセミリタイアを検討している事業者の問題解決にもつなげられるとされています。

飲食店のM&A相場

そんな、飲食店のM&Aの相場としては幅広く、一概にこのくらいが相場とは言い切れません。規模や売り上げ、立地、従業員の有無など様々な条件に左右されます。そのため、少しでも高い金額で売却をしたいとお考えの方は、

①ブランド力

②売上高

を上げておくとよいでしょう。

また、立地や店舗数の条件が良いと、買い手がつきやすくなって、競争状態となり、結果的に売却価額が高騰化することもあります。

飲食店のM&A実施件数

飲食業界は、市場の縮小や人材確保の困難さ、および仕入れや物流の高等化とあわせて、新型コロナウイルスの影響もあり、複数の企業が協力関係になることを目的にM&Aが多く活用され始めています。特に、2020年では、大戸屋とコロワイドのTOB、いきなりステーキのTOBなど、大型M&Aも目立ちました。

今後は、成長中の企業がさらなる成長のため大手の参加に入るM&Aや、小規模でも事業承継のため、セミリタイアのためのM&A等、市場で生き残るために今後も活発な動向が予想されるでしょう。

飲食店のM&Aが盛んな業態

これまでで飲食店のM&Aが盛んな業態といえば、

①洋食

②ファミレス

③ファストフード

などがあげられました。

しかし、今後はこれらの業態に加えて、

①デリバリーやテイクアウトをしている店舗

②インバウンドに対応している店舗

③オンライン化が進んでいる店舗

など、時代やニーズに沿った飲食店が売れやすく、買い手が多くつきやすい事業へと変化していくでしょう。

 

なにより、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、飲食店のあり方は大幅に変化しました。変化に対応できなかった飲食店は、今後市場から淘汰されていくといっても過言でありません。自店舗で対応できない飲食店がM&Aを実施して他店舗のノウハウを得たり、ノウハウのある人材に経営を譲ったりするなどの動きが出てくる可能性があります。

飲食店がM&Aを行うメリット


では、飲食店がM&Aを行うメリットはどのような事項があげられるでしょうか。

後継者不足問題が解決される

1つは、後継者不足問題が解決されるという点です。実際2018年の帝国データバンクの調査によりますと、飲食店を含むサービス業の後継者不足率は71.6%となっています。また、黒字の飲食店であっても、後継者がいないことでお店を畳むしか選択肢がない場合もあるほどです。

その点M&Aを実行すれば、新しい経営者に経営を引き継ぐことができるため、後継者不足問題を解決することに期待できるでしょう。

セミリタイアができる

また、第三者に経営を引き継ぐことで、セミリタイアを行うことができます。セミリタイアとは、定年を迎えるまえに経営から退くことで、近年では資産運用をふくむ、不労所得での生活や、第二の人生を楽しむためなどを目的として、セミリタイアをする方が増えているようです。

新しいサービスを取り入れられる

これまでの経営では思いつかなかった、新しいアイディア等がうまれ、新しいサービスの開発につなげることも期待できます。

特に、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、飲食業界はこれまで通りのサービスよりももっと幅広く、かつ日常に溶け込むようなサービスをユーザーが求めている傾向にあります。新しい経営者に引き継ぐことで、これまで見当もつかなかったようなアイディアが生まれ、M&A自体がよい成長戦略となるかもしれません。

売却益が得られる

更に、M&Aでは手法によっては現金で売却益を得ることができます。飲食店などの小規模M&Aでよく用いられるのは『事業譲渡』という手法ですが、この手法に関しては現金で売却益を得られるのが特徴です。そのほか、株式で対価を得る方法もあります。

オンライン化に対応することができる

現状、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、飲食業界は急速なオンライン化、デジタル化、DX化を迫られています。そうした中、デジタルをはじめ、DXの知識がなくなかなかお客のニーズに応えることができていない店舗もあるでしょう。

その点、オンライン化に強い経営者や、デジタル技術を活かした経営のノウハウのある人材をM&Aで獲得することで、一気にオンライン化に対応することができます。

 

これは、実際に大手企業などでも行われていることで、業務効率化、オンライン化およびDX化等を目的としたM&Aは今後飲食業界でも増えていくでしょう。

飲食店がM&Aを行うデメリット


一方、飲食店がM&Aを行うデメリットは以下の項目があげられます。

M&Aの手法によっては一定期間同じ事業ができない

M&Aの手法によっては、売却してから20年間などそれぞれ定められた期間において、売却した事業と同じ事業を、周辺の地域でしてはならないという決まりがある場合があります。

例えば、現状経営している居酒屋をM&Aで売却し、同じ地域で再度カフェを立ち上げようと思っても、これはルール違反となるということです。

必ずしも買い手がつくわけではない

M&Aは、売り手として登録するれば、必ず買い手が複数つき、高額で売れる、、、というわけではもちろんありません。先述にも申し上げた通り、色々な条件下で魅力的と感じられた店舗でなければ、数か月も買い手がつかない可能性もあります。

そのため、いずれM&Aを検討しているという飲食店は、普段から、ブランド力をあげられるようSNS等に着手したり、売上があがる施策を検討したりしておかなければなりません。

また、リタイア目的の方はリタイアをしたいと思っている時期から逆算をして1~2年前から準備をおしておくとよいでしょう。

資金が必要

売却後こそ、売却益を得ることができますが、どのM&Aを実施する際も契約が成立するまでに、アドバイザーに依頼したり、書類作成を依頼したりなど、資金が必要になります。もちろん、想定される金額を売却価額に上乗せしなければ意味がないのですが、そもそもM&Aを実施する資金が必要ということを念頭にいれておかなければなりません。


まとめ

本記事では、飲食店による小規模M&Aのポイントとメリット・デメリットについて解説いたしました。

飲食業界は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により急激なスピードで様変わりしつつあります。その変化への対応が急務であると言われている中、今後は大小限らず店舗同士、企業同士で協力し合うM&Aが盛んに行われていくようになることでしょう。

 

そのような時代にさしかかったとき、やはりオンライン化が進んでいる事業者、売上が安定している事業者、デジタル技術活用のノウハウがある事業者は強いです。

とはいえ、M&Aを実施するにしても、M&A実施の準備をするにしても何から手をつけてよいかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

将来的にM&Aを検討している飲食店、いざというときのために準備をしておきたいという飲食店はぜひ下記のお問い合わせ窓口からお気軽にお問い合わせください。

開店ポータル編集部
2020/12/30