コスト削減

【コロナが飲食店に与えたプラスの「遺産」】破棄食品への考え方改善《第2回》

開店ポータル編集部
2021/01/15

前回の連載コラム第一回では、コロナウイルスによるパンデミックが飲食店に与えたプラスの「遺産」として「未来の食事代を支払う文化が生まれたこと」をあげました。
>>>【コロナが飲食店に与えたプラスの「遺産」】未来の食事代を支払うという文化《第1回》

直近の経営状況が苦しい飲食店にとってはストック収入を得ることができたり、来店を確約できたりする点がメリットです。

しかし、サブスクなどである程度月の収入を得ることができても、イートイン顧客の大幅な減少により「破棄食材・食品」を増やしてしまった店舗もあります。

そこで注目されたのが「破棄食品の流通」です。

破棄食品の実情

新型コロナウイルスの影響で、現在一部の都府県では緊急事態宣言が発出されています。また、該当する地域の飲食店では時短営業や営業自粛、休業対応を余儀なくされている現状です。

その影響で、飲食店内はもちろん食品卸やメーカー企業では、まだ食べられる食品や食材が大量に破棄されてしまうことになっていました。

 

そもそも日本では年間2,550トンの食品廃棄物が出されているとされています。このうち、賞味期限も切れておらず、まだ食べられる「食品ロス」にあたるのは612トンです。世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量が年間で390トンですので、約1.6倍に相当します。 

コロナ休講で学校給食の提供不可に

今までこの「食品ロス」や「破棄食品」の実情は、あまり目を向けたことがなかったという方も少なくないはずです。飲食店経営者の方々でも、仕方がないと目をつぶっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、その実情に改めて目を向けられ、改善に向けて動き出したきっかけは、緊急事態宣言発出による学校の休講要請で給食の食品破棄問題が公に取り上げられた時でした。学校給食を提供している給食センターは、センターごとにいくつかの学校を担当している場合もあります。

 

学校が休講になれば当然、給食も必要なくなるため、食材が余り過ぎて「もったいない」ということが広まったのです。

破棄食品の流通が広まった

そうしたことで、破棄食品の流通が本格的に始まりました。ひとつづつ見ていきましょう。

学校給食のお取り寄せ

新型コロナウイルスの影響で、学校給食が取りやめになったことを受け、株式会社食文化が運営する「うまいもんドットコム」は給食センターで残ってしまった手つかずの食材を「学校給食応援活動」という形で一般消費者に販売する事業を開始しました。

 

実際学校給食で出されるパンがスーパーで販売されたり、ネット上で牛乳を使ったレシピが沢山流通したりしているところを目にした方も多いでしょう。

余った食材と消費者のマッチングプラットフォーム

また、飲食店では休業の要請や時短営業の要請を受けたことで、ストックしていた食材が使いきれずに余ってしまう、又は破棄せざるを得ない状況になってしまうことが起こりました。

 

そうした中、イギリスのITベンチャー企業では、食品ロスに対応するため、余った食材と消費者をつなげるマッチングプラットフォームを提供しています。同サービスは、取引毎に手数料を徴収するシステムを導入する方針でしたが、ダメージを受けた飲食業界を支援するため、無償版でのリリースを発表しています。

 

今後はグローバルな取引もできるようになる予定です。

在庫ロス掲示板

株式会社バトラでは食品ロスが生じてしまった店舗を支援するため、「在庫ロス」を発信する掲示板を立ち上げています。

 

こちらも、先ほどにご紹介したイギリスのITベンチャー企業と同様のサービスで、消費者と売り手をマッチングするものであるとお考えいただければ分かりやすいでしょう。

 

掲示は無料で行うことができるため、ECサイトを立ち上げる資金がまだ調達できていないという企業でも、低コストにEC業界に参入することができます。

訳アリ商品のお取り寄せ

このように、新型コロナウイルスの感染拡大による在庫ロスを削減することに特化したサービスが多く始まったことで、楽天市場をはじめとした通信販売プラットフォームにおいても、「訳アリ商品のお取り寄せ」が盛んになりました。

 

訳アリといっても、正規品とは殆ど変わらないが、見た目に何があるなどの理由で正規品として販売ができない規格外の商品です。そのため賞味期限が切れているとかではありません。例えば、少し傷が入っているが味は問題ない食品や、ロールケーキの端などの商品があげられるでしょう。

『もったいない』を削減する動きが盛んに

このように、新型コロナウイルスの感染拡大の影響をめぐり、食品ロスが大幅に増えたことで、「破棄食品」を少しでも削減する動きが盛んになりました。これまでは、自宅でいただかく食べ物は、スーパーに買い物に行ったり、生協で注文をしたりすることが主だったという方も多いはずです。

 

しかし、「破棄食品」や「食品ロス」のワードを耳にする機会が増え、規格外の商品を安くで手にいれることができるサービスが広まったことで、企業間だけでなく消費者にも「もったいない」のマインドが浸透してきたように思います。

新型コロナウイルスの感染拡大による、学校の休講や飲食店の休業要請がなければ、一般の消費者ではなかなか日常で口にする食品を通信販売で購入する機会もなかったかもしれません。

そうした意味では、新型コロナウイルスの影響は「破棄食品」に対する考え方はもちろん、食品の流通プロセスをオンライン化させるきっかけにもなったと言えるでしょう。

この流れを受け、飲食店はデリバリーやテイクアウト、お取り寄せ食品の通信販売などに積極的にチャレンジしていっても良いかもしれませんね。
 


特に、ECサイトの立ち上げが今すぐには難しいと思いとどまっている方は、在庫ロス掲示板のようなサービスサイトに掲示してもらう事からECサイト事業に着手するのも良いでしょう。
>>>【コロナが飲食店に与えたプラスの「遺産」】未来の食事代を支払うという文化《第1回》
 

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開店ポータル編集部
2021/01/15