労務管理

従業員を雇うときに提出しなければならない届出は?

開店ポータル編集部
2019/01/02
 お店を開業するときには、さまざまな届出が必要になります。
 その中でも重要なのが、従業員を雇う際の届出です。個人営業ならば提出する必要はありませんが、従業員を雇う場合は、必ず税務署やハローワーク等に届出を提出しなければなりません。

必要な届出の提出先は?

 従業員を雇う際に必要な届出の提出先は大きく分けて、下記の4つです。

①税務署
②労働基準監督署
③ハローワーク
④年金事務所

 それぞれの場所で、必要な書類があります。一つずつ確認していきましょう。

1.税務署に提出する届出

 まずは税務署に提出する届出です。

1.青色事業専従者給与に関する届出書 
… 家族や親族を専従者として経費扱いにするためのもの
2.給与支払事務所等の開設届出書
…従業員の所得税を管理するためのもの
3.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
…従業員9人以下の場合、毎月の納税を年間2回にするもの

 このほかにも、開業時に必要な個人事業の開業届出書など税務署に提出する届出はありますが、今回は従業員を雇う場合なので割愛します。
飲食店開業のために必要な手続き【税務署編】コチラ>>

1.青色事業専従者給与に関する届出書

※従業員に家族や親族がいる場合のみ
 特別控除が受けられる青色申告を使い帳簿を付けている場合、家族や親族の給与を専従者として経費にすることができます。家族経営をしている店舗にはメリットがある届出です。
 家族や親族を従業員にしない場合は提出する必要はありません。条件は下記となります。
・青色申告者と生計を同一にする親族であること
・当該年度の12月31日に15歳以上であること
・青色申告者の事業に、6カ月を超える期間専従していること


 親族の範囲は6親等以内の血族、3親等以内の姻族です。専従者給与に、上限はありません。ですが、高すぎると申請が通らない場合もありますので常識の範囲内で設定しましょう。
個人事業主が知っておくべき【白色申告】と【青色申告】 その違いとは?コチラ>>

2.給与支払事務所等の開設届出書

 従業員の所得税を預かり、収めるための届出です。従業員の雇用形態を問わず、提出しなければいけません。
 開業時の従業員は開業届に記入することで問題ないこともありますが、各税務署で対応が異なる場合があります。該当する税務署に確認をとりましょう。
※国税電子申告・納税システムのウェブサイトe-Taxにて電子申請が可能です。

3.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

※従業員数が9人以下の場合のみ
 基本的にお店で雇っている従業員の所得税は、源泉徴収として毎月天引きし、収めることになっています。
 しかし、従業員数が9人以下の店舗では、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出することで簡略化することが可能です。
※国税電子申告・納税システムのウェブサイトe-Taxにて電子申請が可能です。

2.労働基準監督署に必要な届出

 労働基準監督署に提出する必要があるのは、労働保険に関する届出となります。

1.労働保険関係成立届 
…初めて従業員を雇い労働保険に加入するためのもの
2.労働保険概算保険料申告書
…1年間の従業員労働保険料を申告するためのもの

 下記では、ほとんどの事業で利用されている一元適用事業(労災保険と雇用保険の手続きを一括で行う方法)で必要な届出を説明します。
 

1.労働保険関係成立届

 初めて従業員を雇い、労働保険に加入する際に必要な届出になります。
 労働保険は労災保険雇用保険のことを表し、労働保険は短期アルバイト1人であっても加入対象となります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

2.労働保険概算保険料申告書

 今年度従業員に支払う予定の賃金総額を記入します。保険料を概算して申告しましょう。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

3.ハローワークに必要な届出

 ハローワークでは、主に雇用保険に関する届出を提出します。

1.雇用保険適用事業所設置届 
…従業員を雇用保険に加入させるためのもの
2.雇用保険被保険者資格取得届
…従業員を雇用保険に加入させるためのもの
 

1.雇用保険適用事業所設置届

 従業員を雇用保険に加入させるために必要な届出の1つです。保険関係成立届の提出後にこの届出をハローワークに提出します。
 雇用保険は週20時間以上、31日以上働く見込みのある人が対象になります。従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

2.雇用保険被保険者資格取得届

 こちらも従業員を雇用保険に加入させるために必要な届出になります。設置届と同じく従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

4.年金事務所に必要な届出

 年金事務所には、社会保険の手続きに必要な届出を提出します。
 個人事業主での飲食店の場合、法定外業種になるため従業員を強制的に加入させる必要はありません。
 その上で社会保険に加入するため必要な届出としては、下記があります。

1.健康保険・厚生年金保険の新規適用届 
…従業員を社会保険に加入させるため
2.新規適用事業所現況書
…従業員を社会保険に加入させるため
3.被保険者資格取得届  
…従業員を社会保険に加入させるため
4.健康保険被扶養者(異動)届
…従業員に扶養家族がいる場合のもの
 

1.健康保険・厚生年金保険の新規適用届

 社会保険に加入するために必要な届出です。ハローワークに直接持ち込むのはもちろん、電子申請することも可能です。個人事業主の飲食店等では加入義務はありません。
 なお、パートやアルバイトを社会保険に加入させるためには5つの条件が必要になります。

① 週の労働時間が20時間以上
② 月の賃金が8.8万円以上
③ 1年以上働く見込みがある
④ 従業員501人以上、それ以下の場合は従業員の半分以上と事業主が社会保険に加入することを合意している場合
⑤ 夜間や定時制の学生である場合
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

2.新規適用事業所現況書

 新規適用届を提出する際、一緒に提出する届出になります。自治体ごとに提出する必要があるか違います、ご確認ください。

3.被保険者資格取得届

 こちらも社会保険に加入する条件を満たした従業員を雇う場合に提出が必要な届出です。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

4.健康保険被扶養者(異動)届

 新たに雇った従業員が健康保険に加入し、更にその従業員に扶養家族がいる場合に提出が必要な届出です。
 被扶養者の条件として配偶者、祖父母、父母、子、孫、配偶者は被保険者と必ずしも同居している必要はありませんが、3等身内の伯叔父母や甥姪に関しては同居している必要があります。
※電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)にて電子申請が可能です。

各種届出の提出期限は?

 最後に各届出の提出期限についてまとめました。確認用にお使いください。

1.税務署
①青色事業専従者給与に関する届出書
 ⇒開業日から2か月以内
②給与支払事務所等の開設届出書
 ⇒給与の支払いから1か月以内
③源泉所得税の納期の特例の承認
 ⇒必要な時に随時行う

2.労働基準監督署
①労働保険関係成立届
 ⇒雇用してから10日以内
②労働保険概算保険料申告書
 ⇒雇用してから50日以内

3.ハローワーク
①雇用保険適用事業所設置届
 ⇒雇用してから10日以内
②雇用保険被保険者資格取得届
 ⇒雇用してから10日以内

4.年金事務所
①健康保険・厚生年金保険の新規適用届
 ⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
②新規適用事業所現況書
 ⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
③被保険者資格取得届
 ⇒従業員が5人以上になった日から5日以内
④健康保険被扶養者(異動)届
 ⇒従業員が5人以上になった日から5日以内

適切な届出の提出を心掛けて

 従業員を雇うのには、多くの届出が必要なことが分かります。個人で営業する飲食店であれば、社会保険の加入義務が無いこともおさえておきましょう。
 どの届出も提出忘れや記入ミスがあると、面倒な手続きをとらなければならないケースに発展してしまうこともあります。トラブルを避けるためにも、きちんと届出を把握し、円滑にすすめられるよう準備しておきましょう。
 
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開店ポータル編集部
2019/01/02