経営支援

【デリバリー専門店開業】手続き方法や利用できる補助金は?

開店ポータル編集部
2021/01/25
新型コロナウイルスの感染拡大により、デリバリーサービスへのニーズが急激な高まりを見せています。

今回は、デリバリー専門店の開業にともなう、必要な申請や手続きの種類に加えて、開業におすすめの物件や補助金などについても、わかりやすく解説いたします。

デリバリー専門店とは?


そもそも「デリバリー専門店」とは、その名前が示す通り、料理の配達を行う「デリバリー営業」を主体とした飲食店全般を指すものです。

近ごろでは、実際の店舗を持たないことから「ゴーストレストラン」や「バーチャルレストラン」などとも呼ばれています。

コロナ禍でデリバリーの需要が急増


民間の調査団体である「MMD研究所」の調査によると、2019年9月の段階で「フードデリバリーデリバリーサービスを利用したことがある」と答えた層は、全体のおよそ29.9%であるのに対し、2020年7月の時点では、およそ46.4%となるなど、コロナ禍でデリバリーサービスの利用を始めているユーザーが増えていることがうかがえます。


出典:2020年インターネットでのフードデリバリーサービスに関する調査(MMD研究所)

店舗を持たない飲食店


このような状況もあってか、近ごろでは、実際の店舗を持たない「ゴーストレストラン」の開業事例が、続々と散見されるようになりました。

「ゴーストレストラン」とは、実際の店舗を持たずにデリバリーやテイクアウトのみで営業を行う飲食店のスタイルのことです。コロナ禍に突入して以降は、テレワークや在宅勤務などの影響もあってか、新しいstyleとして巷では大きな注目を集めています。

▶︎▶︎【ゴーストレストラン開業】コロナ禍における新しい形の飲食店の仕組みとメリット
▶︎▶︎独立開業|ゴーストレストラン経営に飲食店営業許可は必要?注意点やオープンまでの流れ

デリバリー専門店開業に最低限必要な手続き


デリバリー専門店やゴーストレストランなど、実際に店舗を持たない営業スタイルの場合であれば、通常の店舗営業と比べて開業に必要な手続きのハードルは低くなります。

最低限必要な手続きは「食品衛生責任者の選出」と「食品営業許可申請の提出」の2種類のみとなっているため、店舗を構えないことによるメリットは大きいと言えるでしょう。

食品衛生責任者の選出


まず、飲食店の開業にあたっては、1つの店舗に対して必ず1名の「食品衛生責任者」を選出しなければなりません。

この「食品衛生責任者」ですが、資格を取得するためには、各都道府県の「食品衛生協会」が実施している外部講習に参加する必要があるため、まだ受講が済んでいないということであれば、まずは最寄りの保健所に行って詳細を確認しておきましょう。
 
  • 栄養士
  • 調理師
  • 製菓衛生士
  • 船舶料理士
  • 食鳥処理衛生管理者
  • 畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者
また、上記の専門資格所有者であれば、講習を受けることなく「食品衛生責任者」になることができるため、こちらもあわせて確認しておくと良いでしょう。

食品営業許可申請の提出


次に必要となるものが、対象地域の保健所から店舗単位で発行される「食品営業許可申請」というものです。

この「食品営業許可申請」ですが、飲食店の営業に必要ないわゆる営業許可証のようなもので、申請書類の提出は各都道府県の保健所を通じて行います。

すでに申請が済んでいる店舗で調理を行う場合は不要ですが、新築の店舗や自宅での調理であれば、新規での提出が必要となるため、こちらも忘れずにチェックしておきましょう。

デリバリー専門店開業のその他の手続き


続いては、必須ではないものの、条件や場合によっては用意しなければならない必要書類をご紹介いたします。

特に、個人名義での開業、従業員雇用の有無、営業店舗の収容人数など、開業の条件によって必要な手続きが異なってくるため、まずは順を追って見ていきましょう。

収容人数が多い店舗の場合


収容人数が30人を超える店舗で営業を行う場合には、消防署が発行する「防火管理者選任届」の提出が必要です。

個人名義で開業する場合


開業が個人名義の場合には、税務署が発行する「個人事業の開廃業等届出書」の提出が必要です。

従業員を雇用する場合


従業員を雇用する場合には、労働基準監督署や公共職業安定所を通じて「労災保険」や「雇用保険」に加入する必要があります。

デリバリー専門店の調理場所はどうする?


デリバリー専門店を開業する場合、気になるのは料理を調理する「調理場所」についてではないでしょうか。

ここからは、デリバリー専門店の開業におすすめな調理場所を、主に3つのジャンルに分けて簡単にご紹介いたします。

居抜き物件


まずは、過去に入っていた店舗の内装や厨房設備などをそのまま活かすことができる「居抜き物件」が挙げられるでしょう。

開業にともなう設備投資など、初期費用の多くを最小限に抑えて開業することができるため、おすすめできる物件スタイルの一つです。

シェアキッチン


続いては、複数の店舗と調理スペースを共有することができる「シェアキッチン」が挙げられます。

飲食店の営業許可申請が済んでいるシェアキッチンの場合であれば、個人での申請の手間を省くことができるため、こちらの物件もおすすめの開業方法の一つです。

自宅での調理は可能?


必要な設備などがすでに揃っているということであれば、自宅での開業を行うという選択肢も良いでしょう。

先ほどもお伝えしたように、自宅での開業であれば、必ず「食品衛生責任者の選出」と「食品営業許可申請の提出」の両方を行う必要があます。

加えて、火器設備を取り扱うための「防火対象設備使用開始届」や「火を使用する設備等の設置届」などが必要となるケースもあるため、まずは専門のプロへ相談することをおすすめします。

デリバリー専門店開業に利用できる補助金


通常の店舗よりも、開業にともなう設備投資などの諸々のコストを削減することができるデリバリー専門店ですが、かかる費用は1円でも安くしたいというのが本音ではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響から、近ごろでは、中小規模を対象とした補助金や助成金などの支援制度が複数用意されています。ここからはデリバリー専門店の開業に便利な「IT導入補助金」と「業務転換支援補助金」をご紹介いたします。

▶︎▶︎飲食店が申し込める補助金・助成金一覧【2021年度最新版】
▶︎▶︎2020年飲食店経営者が申請すべき助成金・補助金はこれ!【相談無料】

IT導入補助金


「IT導入補助金」とは、業務効率化や売上アップのためにITツールを導入する場合、そこにかかる経費の一部を補助してもらえる制度です。

過去の支給事例としては、販売管理システムや勤怠管理ツールの導入など。飲食店では、POSレジやセルフオーダー端末などの導入に利用できるでしょう。

ただ、こちらは令和2年度の受付を終了しておりますので、今後新たに予算が組まれ募集要項が発表され次第、詳しくご紹介いたします。

業務転換支援補助金


「業務転換支援補助金」とは、新型コロナウイルス感染症の流行によって売上が大きく落ち込んでいる都内中小飲食事業者に向けて、デリバリーやテイクアウトデリバリーの提供により売上を確保する取り組みに対し、経費の一部を助成するものです。

デリバリーなら20時以降も営業可能!


飲食店を経営している方であれば、先日8日から再発令されている緊急事態宣言にともなう飲食店の時短要請に頭を抱えているのではないでしょうか。

緊急事態宣言下においては、対象地域の飲食店は20時以降の営業が制限され、違反した場合、今後は過料も含めた罰則規定なども予定されています。

デリバリー営業の場合であれば、たとえ20時以降の営業であっても、従来と同様に問題なく営業活動を行うことができるため、このような点などもデリバリー営業の持つメリットの一つと言えるでしょう。

▶︎▶︎【緊急事態宣言】20時以降のデリバリー営業はどうなる?

まとめ

今回は、デリバリー専門店の開業にともなう、必要な申請や手続きの種類に加えて、開業におすすめの物件や補助金などについても、わかりやすく解説いたしました。

コロナ禍に突入してからというもの、飲食店を含む接触型の店舗はますます厳しい状況に追い込まれつつあります。

とは言え、デリバリーやテイクアウトなどは、その需要が急激に加速しているため、時代が求める提供スタイルを確立することで、厳しい現状を乗り越えていきましょう。

開店ポータル編集部
2021/01/25