スタッフ育成

従業員が辞めないカフェが実践しているスタッフ・アルバイトの育成方法

開店ポータル編集部
2020/03/06
 飲食業界全体で問題になっている人手不足。採用したスタッフが1日で辞めてしまうケースも少なくありません。人手不足に陥らないようにするためには、働きやすい環境を作り、人材育成に力を入れる必要があります。

 本記事では数ある業態のなかでも、「カフェスタッフ・アルバイトの育成方法」について、見ていきましょう。

新人がすぐに辞めてしまう理由

 「すぐにスタッフが辞めてしまうため、採用や教育に時間とコストがかかる」――これは多くのカフェが抱えている問題です。なぜ、スタッフはすぐに辞めてしまうのでしょうか。

 スタッフが辞めたくなる理由の多くは「給料が安い」「体力的にきつい」「仕事を教えてもらえない」の3つです。
 カフェでは、実際の業務を通して仕事を覚えていく育成方法が一般的。新人を指導するスタッフが「自分で仕事をしたほうが早い」と考えて、「仕事の流れは見て覚えてくれればいいから」というスタンスを貫くと、新人は、仕事を教えてもらえず不安になります。やがて、体力的にも精神的にも追い込まれ、その割には給料が安いことでやる気をなくし、離職につながるのです。
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定着率UP!カフェスタッフの育成方法

 スタッフが辞めないようにするためには、仕事を見て覚えてもらうという教育方法ではなく、仕事を具体的に教えて、何をすればよいかを明確にする教育方法に変えることが大切です。

 何をすればよいか具体的に教えて、教育担当者が見ている前で実践させ、足りない部分があれば指導します。そのさい、あいまいな表現では伝わりません。セルフサービスのカフェでない限り、通常、お客さまのテーブルを見て回り、空いている食器や水の補充などを行うラウンドサービスの仕事があります。

 新人に対して「空いている時間は、お客さまのテーブルを見て回ってください。」という指示では、何をどうすればよいかわかりません。「1番テーブルの食器が空いているから、お客さまに、お下げしてもよろしいですかと聞いて下げてきてください。」と具体的に指示をします。これが上手くできたら、「他のテーブルも見て回って、空いているお皿があれば下げてきてください。」と伝えましょう。
 また、同じ新人でもカフェ経験者と未経験者では仕事を覚えるスピードもできる仕事も異なります。できる仕事とできない仕事を把握し、それぞれに合わせて教える必要があります。

スタッフ育成に効果的な4つの取り組み

 より効果的な人材育成をおこなうために、以下の4つを実践してみましょう。

①マニュアルをつくる
②チェックシートをつくる
③インセンティブ制度を導入する
④スキルアップ研修をおこなう


 それぞれ順にご説明していきます。

①マニュアルをつくる

 仕事を具体的に教えるためには、カフェ用のマニュアルが必要です。マニュアルがあれば、新人は仕事がわからず不安になることはありません。ベテランスタッフも経験や勘に頼らず、マニュアルに沿って指導ができます。また、長年働いていると、マニュアルを忘れて自己流になりがちです。スタッフ全員が同じサービスを提供できることが店舗全体のサービス向上につながります。まずは、業務別にマニュアルを作成しましょう。
 マニュアル作成のポイントは以下の通りです。

【マニュアル作成のポイント】
・持ち運びしやすいサイズを用意
・写真や絵を差し込む
・理由や目的を明確にする
・問題点を事前に解消する
・具体的な対応例を記載する

 マニュアルで大切なのは、いつでも確認できることと、わかりやすい内容であることです。そのためポケットサイズ程度のものも用意しておくのをおすすめします。
 説明文には写真や絵、対応例などを入れて、誰が見てもわかりやすいものになるよう心掛けましょう。あわせて、その業務をおこなう目的や内容、コツなども記載しておくと、業務のクオリティーも高くなることが期待できます。
 また、接客の基本である、接客接客マナー5原則と接客8大用語を載せておくのもおすすめです。

 ただ、マニュアルがあるからといって、いきなり新人に仕事を任せるようなことはせず、慣れるまでは、他のスタッフと一緒に仕事をさせます。これは、お客さまへの対応など、マニュアルでは対応できない事態が発生することもあるためです。わからないことがあれば、すぐに聞ける環境を整えましょう。

 下記はお客さまを席へ案内する際のマニュアル例です。マニュアルは、なるべく箇条書きにし、わかりやすくまとめるとよいでしょう。

マニュアル例
■お客さまのご案内の仕方
 □ご案内時の基本フレーズ
「お客さま、何名さまでいらっしゃいますか?」
「かしこまりました。こちらの席におかけください。」
接客ポイント
お客さまが席についたら、お水とおしぼりをすぐに出すこと
接客ポイント
おひとりさまの場合は「お連れさまはいらっしゃいますか?」と声かけし、人数分の席に案内すること。

★「マニュアルの作り方」に関する記事はこちら★
新人教育に必要な飲食店の「人材育成マニュアル」の作り方
繁盛店への道~スタッフ育成・教育マニュアルの作り方~

②チェックシートをつくる

 カフェの仕事のなかでもトイレ掃除など確認すべき項目が複数ある場合は、うっかり掃除をし忘れることのないようにチェックシートを作成しましょう。
 下記はトイレ掃除のチェックシートに盛り込むべきサンプル例です。

チェックシートサンプル例
■トイレ掃除
□トイレットペーパーの補充
□水は流れるか
□ゴミは落ちていないか
□アメニティの補充
□洗面台・鏡の掃除
□芳香剤の補充

③インセンティブ制度を導入する

 ただマニュアル通りにできているかどうか確認するだけでなく、評価する機会を設けましょう。
 レベル別に仕事をわけ、席までの案内ができるようになったら、ドリンクの仕事を任せます。ドリンクの仕事ができるようになったら時給10円アップなど、基準を設けて、平等に評価することが大切です。仕事のレベルに合わせて、時給がアップすればモチベーションも上がるでしょう。

④スキルアップ研修をおこなう

 アルバイトリーダーなど、他のアルバイトスタッフの教育や売上金の管理まで任せられるスタッフを集め、定期的に研修を行い、資格の取得を促しましょう。
 スキルがアップし、やりがいを感じられるようになることで、続けたくなるものです。
 

特に重要なのが「アルバイトへの教育」


 飲食店のスタッフの割合を多く占める、アルバイト。お店を円滑にまわすためにも、アルバイトの教育はとても重要です。

 しかし、なかには準備やほかの業務で忙しく、アルバイトの教育を十分におこなえていなかったり、どのように教育したら良いかわからない方も多いはず。
 アルバイトの教育をするうえでのポイントをご説明します。

アルバイト教育の2つのポイント


 アルバイトを教育するさいに抑えておきたいポイントは、以下の2つです。

①ハウスルールを教える
②基本業務の流れを教える


 それぞれ、どのような取り組みとなっているのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

①ハウスルールを教える


 ハウスルールとは、そこで働くうえで守るべきルールであり、お店独自で定めているものです。お店によって内容がまったく異なることもあるため、最初にしっかりと共有しておくことが大切です。この基本があることで認識の相違がなくなり、スタッフ全員が同じ意識をもって業務に取り組みやすくなります。
 特にハウスルールを設けていないというところは、つくってみましょう。その際には、主に以下のような項目を設定してみてください。

【ハウスルールの項目例】
・経営理念や業務に対する心がけ、働く目的
・労働時間や勤務スタイル、休憩の取り方
・挨拶の仕方やスタッフ同士の呼び方
・服装やヘアスタイルなどの身だしなみ
・してはいけない禁止事項
・ミーティングのルール
・お店独自に使用している用語
など

 考え方や、勤務に取り組む姿勢、礼儀やマナーなどがあります。項目があまり多すぎても頭に入りにくくなってしまうので、できるだけわかりやすいようシンプルにまとめましょう。

★ハウスルールに関する記事はこちら★
飲食店従業員の働く意欲を高める独自のハウスルールを作ろう
 

②基本業務の流れを教える


 ハウスルールを把握したら、次は重要な業務内容です。教え方の順序としては、まずは誰でも取り組みやすい簡単な業務からはじめて、だんだんと難しい業務にステップアップしていく流れで進めていきしましょう。
 飲食店のアルバイト経験者もいれば未経験の方もいます。一人ひとりのペースにあわせて、一つひとつ丁寧に教えていくことが大切です。

 主な業務は以下の通りです。

【ホール業務】
・お客さまを席に案内
・オーダーをとる
・料理やドリンクの配膳
・食器の片づけなどテーブルセッティング
・電話対応
・レジ対応
・クリンネス
など

★クレンリネスのマニュアル作成に関する記事はこちら★
クレンリネスを習慣化!飲食店に必要なマニュアルとチェックリスト

★ホールのクリンネスに関する記事はこちら★
【店舗を清潔に保つために!】床・窓・テーブル・トイレの基礎的なクリンネス方法


【キッチン業務】
・仕込み
・調理
・盛り付け
・洗い物や後片付け
・クリンネス
など

★「キッチンのクリンネス」に関する記事はこちら★
グリストラップ・冷蔵庫・製氷機・ドリンクディスペンサーの基礎的なクリンネス方法

 ホールとキッチンでは業務内容が異なるため、配属先にあわせて教えていきましょう。一通りの業務内容を教え終わったら、ロールプレイングで練習していくのがおすすめです。くり返しおこなうことで、頭ではなく体でしっかりと覚えられるようになります。
 実際にあったケースを例により実践に近いかたちでおこなえば、業務の優先順位や、イレギュラーな事態が起きた時の対応の仕方も身につけられます。
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新人もベテランも働きやすいカフェづくりを

 すぐに新人が辞めてしまい、深刻な人手不足に悩まされているお店もあれば、新人が1~2日で辞めることもなく、求人募集をすれば応募が殺到するカフェもあります。

 多くの求人が集まる人気カフェは、マニュアルもあり、スタッフが働きやすく、やりがいを感じていることが多いです
 本記事でご説明したポイントを意識して、まずは、マニュアルやチェックシートの作成からはじめてみましょう。

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開店ポータル編集部
2020/03/06