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あなたのお店は大丈夫?見直すべき、飲食店における喫煙ルール

開店ポータル編集部
2019/07/30
 2018年7月、健康増進法の一部が改正され、受動喫煙防止の対策が法律化されることになりました。それにともない、2020年(令和2年)4月から飲食店における喫煙ルールも大きく変わります

 「具体的にどんな対策をとればいいのか、分からない」というオーナーの皆さんは要注意。改正健康増進法に違反した場合、喫煙したお客様だけでなく、お店も厳しく取り締まられることになるのです。

 本記事では、改正健康増進法の対象となる飲食店の条件や喫煙ルールがどのように変わるのかをお伝えします。

健康増進法改正の意義とは


 たばこの煙に含まれる70種類もの発がん物質は、喫煙者本人だけでなく、副流煙を吸い込んだまわりの人にも肺がんや呼吸器障害を引き起こします。飲食店などの公共施設における受動喫煙は、社会問題として何度も取り上げられてきました。

 改正健康増進法の根本となるのは、このような健康被害から非喫煙者を守るため「望まない受動喫煙をなくそう」という考え方です。特に健康への影響が大きい子どもや患者に配慮し、学校や病院などの敷地は全面禁煙、飲食店をはじめとするその他の施設には明確な喫煙ルールを設けています。

飲食店の喫煙ルールはどう変わる?

 健康増進法の改正によって、飲食店での喫煙ルールは2020年4月からどう変わるのでしょうか?シーン別にみていきましょう。

1.既存店かつ小規模の飲食店
【条件】
・2020年4月1日時点で営業している既存店舗
・客席面積100㎡未満の店舗
・資本金5,000万円未満の店舗


 既存の小規模店は、屋内全面禁煙、もしくは喫煙可能のどちらかになります。
 喫煙可能店の場合、喫煙を目的としない場合であっても、20歳未満の人(お客様、従業員とも)は喫煙スペースに立ち入ることができません。

 また、喫煙室を設ける場合は、次の基準を満たすことが条件となります。
・喫煙室出入り口の風速が毎秒0.2m以上
・たばこの煙が室外に漏れないよう、壁や天井などで区画している
・たばこの煙が屋外に排気されている
・お店の出入り口、もしくは喫煙室に、法律で指定された標識を掲示している

2.新規店、または既存の大規模飲食店

【条件】
・2020年4月1日以降に開業する新店舗
・客席面積100㎡以上の店舗
・資本金5,000万円以上の店舗


 新店および既存の大規模店は、屋内全面禁煙にするか、加熱式たばこ(IQOSやgloなど)用の喫煙室、もしくは通常の喫煙室を設置することになります。禁煙席とフロアを分けて、加熱式たばこ専用喫煙フロアをつくることも可能です。

 加熱式たばこ用喫煙室では飲食が可能ですが、通常の喫煙室では飲食ができません。
 また、小規模店と同様に、20歳未満の人は従業員であっても喫煙スペースに立ち入ることはできません。

3.バーやスナック
 バーやスナックなどの一部の飲食店は、お客様に自由に喫煙を楽しんでもらうことが主な目的です。そのため、現在の喫煙ルールを継続することができます。

 しかし、注意点があります。どんな業態の飲食店も、屋内で喫煙できるようにするには、前述した受動喫煙防止の構造基準を満たしていなければなりません。バーやスナックであっても、これらの基準を満たさなければ喫煙不可となるので、注意してください。

改正健康増進法に違反すると…


 喫煙室に20歳未満のお客様や従業員を立ち入らせた、喫煙ルールを示す適切な標識を貼っていなかった、禁煙場所に灰皿を置いた…などの違反があった場合には、取り締まりの対象となってしまいます。

 都道府県から指導や命令を受けていながら改善が見られない場合、お店には50万円以下の過料、喫煙者本人にも30万円以下の過料が科せられます。

受動喫煙防止対策の助成金を活用しよう


 喫煙ルールを明確化し、新しく設備をととのえるとなると、多少なりともコストがかかります。
 そんなときにはぜひ、「受動喫煙防止対策助成金」を活用しましょう。

 店舗改修工事などにかかるお店の負担を軽くする制度で、常時雇用されている従業員が50人以下、もしくは資本金5,000万円以下の飲食店が対象となります。費用総額の3分の2(上限額は100万円)まで、助成金を受け取ることができますよ。

 助成金の利用を検討している方は、厚生労働省のホームページで詳細を確認してみてください。

 かねてから講じられてきた受動喫煙対策ですが、いよいよ来春より、マナーからルールに変わります。愛煙家もそうでない方も、お互いを尊重し合い、快適に過ごせるお店をつくっていきましょう。
 
開店ポータル編集部
2019/07/30