閉店手続き

万一に備えて知っておきたい!飲食店閉店時に必要な届出や手続きとは

開店ポータル編集部
2019/04/23
 魂を込めて営業してきた大切なお店。さまざまな事情から、閉店せざるをえない状況になってしまうこともあります。そんなとき、どのような手続きを取ればいいのかわからないといった経営者もきっと多いはず。

 各行政機関への届け出やあらゆる契約の解約など、開店時同様にやるべき作業が実はとても多いのです。そこで、今回は閉店時に必要な届け出の種類や手続きをご説明します。万一に備えて頭に入れておきましょう。

行政機関に提出すべき届出の種類


 まずは閉店に関する届け出を各行政機関に提出する必要があります。開業時に提出した書類や業態、保険の加入状況などによって各店舗で届け出るべき書類が変わるため、該当するものを確認しておかなければなりません。では一体、どの機関にどのような書類を提出すればよいのでしょうか。

①保健所


◆廃業届
◆飲食営業許可書(返納)


 廃業届は、営業を停止した日から10日以内に保健所へ提出することが義務付けられています。期間が短いため期日を過ぎてしまわないよう注意しましょう。届け出は各地域の保健所HPから入手できます。
 あわせて、開店時に受け取った飲食営業許可書を返納する必要があります。万が一紛失してしまったときには、再発行や紛失届の提出が必要です。
 

②警察署


◆廃止届出書
◆風俗営業許可証(返納


 居酒屋やバーなど深夜帯にお酒を提供していた店舗は、警察署に廃止届出書を提出しなければなりません。各地域の警察署HPから入手可能です。
 また、風俗営業許可をとって営業していたなら風俗営業許可証の返納も必須。その際、閉店や返納の理由を記す返納理由書も忘れずに提出しましょう。
 廃止届出や許可証返納は閉店から10日内、返納理由書はなるべく速やかにと決められています。怠ると罰金や罰則が発生する場合もあるので気をつけてください。
 

③消防署


◆防火管理者解任届

 消防署には開店時、防火管理者選任届と防火対象設備使用開始届を提出しているはずです。そのため閉店したら防火管理者解任届を出します。具体的な期日はありませんが、閉店した日を解任日としているためできるだけ早いほうが良いです。各地域の消防署HPから入手しておきましょう。
 あわせて開店時に提出していた防火対象設備使用開始届については、特になにもしなくて大丈夫です。
 

④税務署


◆個人事業の開業・廃業等届出書
◆給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
◆所得税の青色申告の取りやめ届出書
◆事業廃止届出書


 税務署への書類は4種類あり、それぞれ該当するものを提出します。
 個人事業の開業・廃業等届出書は、個人事業主として営業していた店舗が該当するもので、営業停止から一ヵ月以内の提出が必須です。
 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出は、従業員や専従者がいた場合、営業停止から一ヵ月以内に提出しなければなりません。
 所得税の青色申告の取りやめ届出書は、今までおこなっていた青色申告をとりやめる場合に提出します。やめる年の翌年3月15日までに提出してください。
 事業廃止届出書は、課税事業者が事業を廃止した際に提出するものです。営業停止後、速やかな提出が義務付けられています。
 それぞれ国税庁のHPから入手できます。
国税庁 HP:http://www.nta.go.jp/
 

⑤都道府県税事務所


◆閉店の届け出(各都道府県ごとの名称)

 また、個人事業であれば各都道府県税事務所にも閉店に関する届け出をしなければなりません。届け出の名称や提出期日はそれぞれで定められているためさまざまです。店舗が所在する都道府県税事務所のHPから詳細を確認してください。
 

⑥日本年金機構


◆健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
◆雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)


 従業員を雇い、健康保険や厚生年金保険、雇用保険のどれかに加入している場合には日本年金機構にも書類の届け出が必要です。
 保険の加入状況をあらかじめ把握しておきましょう。提出期日は閉店から5日以内となっています。
 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届は、日本年金機構のHPから入手できます。
日本年金機構:https://www.nenkin.go.jp/
 

⑦公共職業安定所への届出


◆雇用保険適用事業所廃止届
◆雇用保険被保険者資格喪失届
◆雇用保険被保険者離職証明書


 従業員を雇って雇用保険に加入していれば、公共職業安定所にも届け出をします。書類は3種類。雇用保険適用事業所廃止届のみ閉店から5日以内、それ以外は10日内の提出となっているため注意です。
 雇用保険被保険者離職証明書に関しては公共職業安定所窓口や郵送での受け取りになります。ほかはハローワークインターネットサービスから入手可能です。
ハローワークインターネットサービス:
https://www.hellowork.go.jp/

 

⑧労働基準監督署


◆労働保険確定保険料申告書

 従業員を雇って労働保険に加入している場合には、労働保険確定保険料申告書を提出します。提出先は労働基準監督署、もしくは都道府県労働局か日本銀行のいずれかです。
 閉店日から50日以内の提出と、ほかに比べて猶予があります。届出は送られてくるため、ダウンロードや取りに行く手間はかかりません。

 基本的に届出の入手や提出は、店舗が位置する各地域の行政機関のHPや窓口からおこなえます。郵送や窓口持参、電子申請など提出方法や書類の名称が異なるものもあるので各自で確認しておきましょう。

トラブル防止のため確実に!

 各行政機関への届け出が完了したら、次はさまざまな契約の解約やスタッフ、顧客への対応です。後回しにしがちですが、これをおろそかにしてしまうと余計な出費や大きなトラブルの元になる恐れがあります。締結時の書類などをあらかじめ用意し、すぐにとりかかれるよう準備しておきましょう。

①リース品の返却や借入金の返済


 まず確認しておきたいのが、リース品や借入金など借りているものがあるかどうかです。
 契約内容によっては所有権が移る場合もありますが、基本的にリース品は返却しなければなりません。返却方法やタイミングなどはリース会社に聞いておきましょう。
 ただし、ここで注意なのが残債です。もし完済していなければ閉店後も支払い続ける義務があります。同様に、借入金の返済が残っている場合も支払いの義務は続きます。
 今後の支払い方法や期間などを相談するためにも、必ずリース会社や金融機関に連絡しておいてください。
 

②物件やインフラ周り解約


 閉店が決まったら前もって解約の準備をしておきましょう。契約内容や期間によってはすぐに解約できなかったり、違約金が発生する可能性もあります。
 特に物件は、解約予定の数ヵ月前までに書面で解約通知を提出しなければならないことがほとんどです。閉店しても家賃を払い続ける期間が出てしまうので、逆算して早めの行動を心がけてください。
 電気やガス、水道などのインフラは電話で解約日を伝えれば済むので簡単。つい後回しにして忘れてしまいがちなので注意です。解約し忘れてずっと料金だけ払っていたなんてケースもあります。
 

③従業員への解雇通告


 閉店により従業員を解雇するときは、30日前までに解雇通告をおこなわなければなりません。これは労働基準法で定められています。万が一急な閉店となってしまった場合には十分な説明と誠意ある対応が大切です。
 従業員のその後の人生にも関わるため、30日前は関係なく閉店が確定した段階でできるだけ早めに伝えてあげると良いでしょう。
 

④顧客に閉店の報告


 これまで来店してくださったお客様に感謝を伝えるためにも、閉店のあいさつは重要です。張り紙やHP、SNSなどで閉店日も含めてお知らせしておきましょう。
 来店した方にはワンドリンクサービスなどキャンペーンを組めば、最後にもう一度訪れてもらう良いきっかけになります。頻繁には来られない方のため早めに告知しておくのがおすすめです。

最後まで責任をもってやり遂げよう


  閉店が決まってから閉店した後まで、意外にもやることは山積みです。
 しかも届け出はどれも期日が迫ったものばかり。漏れなくこなすためにもやるべきことをしっかりとリストアップし、終わっていることと終わっていないことを把握しておく必要があります。
 最後の最後まで責任をもって手続きをおこない、すっきりとした気持ちでまた新たなスタートを切りましょう。
 
開店ポータル編集部
2019/04/23