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飲食店経営 売上向上のカギ《回転率と稼働率とは?》計算式と対策を知ろう

開店ポータル編集部
2020/09/28
 飲食店の売上は、一日にどれだけ多くのお客さまに利用されたかで決まることは、言うまでもありません。しかし、沢山のお客さまを呼び込もうとしても、店舗によって収容できる座席数は千差万別。業態によっても利用率は変わってきます。
 
 この、決まった席数のなかで何回お客さまが入れ替わるかを回転率。どれだけ多くのお客さまが席に座るかを稼働率といいます。

 今回は回転率と稼働率”にスポットを当てて、売り上げを伸ばすために飲食店がすべきことについて考えていきましょう。

飲食店経営 売上向上のカギ『回転率と稼働率』とは


 飲食店において、売上を把握するさいや予測を立てるさいに重要になってくるのが、回転率稼働率です。ではいったい、回転率と稼働率とはいったい何なのでしょうか。 

■回転率とは?


 回転率は、お客さまが一日に何回入れ替わったかを表す指標です。以下の公式で求めることができます。


 回転率=1日のお客さまの数÷席数


 50席のレストランで100人のお客さまが利用した場合は、“1日2回転”。
 10席のラーメン店で100人が利用した場合は、“1日10回転”となります。
 回転率が低い場合、より多くのお客さまにサービスの提供ができなくなるので、結果、売上は下がります。かと言って、席数を増やすということは現実的ではありません。

 そこで、席数は現状のまま、回転率を上げるための対策が必要となるわけです。

■稼働率とは?


 次に稼働率ですが、こちらは、客席がどのくらい稼働しているかどうかを表す指標のことです。
 テーブルが満席になった場合何%の席が使用されているかという数値をパーセンテージで表します。
 

 稼働率=満席時のお客さまの数÷総座席数


 4人席に3人で座っているテーブル、2人席に1人で座っているテーブルなどがあった場合、荷物置きにされた席や空席は死に席となり、稼働率が下がってしまいます。
 例えば、総席数が50席のレストランで、すべてのテーブルが埋まっている状態で、お客さまの人数は40人。そうなると、稼働率は40(人)÷50(席)=80%となります。
 一般的に稼働率は60~70%と言われています。稼働率が低い場合、本来サービスを受けられるはずのお客さまを逃していることになるので、大きな機会損失となります。
 やはり、稼働率を上げるための対策が必要になるのです。

飲食店経営 売上向上のカギ『回転率と稼働率』を上げる方法とは?


 カウンターしかない小さなラーメン店は、ラーメンという客単価の安いメニューをできるだけたくさん売らなければなりません。
 そこで、カウンターを満席にして、お客さまの回転数を上げることが重要になってきます。稼働率もできるだけ上げて、沢山のお客さまを収容したいところです。

 一方、客単価の高いレストランは、お客さまに特別な時間を楽しんでもらうことも重要なサービスのひとつです。その場合はゆっくりくつろげる居心地の良い店づくりと、上質なサービスが求められます。その分お客さまの滞在時間が長くなるため、1~2回転しかしないのが普通です。そのため、稼働率は確実に上げられるよう対策が必要です。

 では、回転率や稼働率を上げるためにはどのような方法があるでしょうか。
 

回転率対策①】オーダーの際の無駄な時間を省く


 営業時間は限られています。少しでもお客さまを待たせる時間を省ければ、それだけ多くのお客さまに利用していただけるようになります。
 例えば、お客さまが席に着く前にオーダーをとる方法。
 食券の券売機の導入や、並んでいる段階で先に注文を伺うなどの方法があります。オーダーのメモは、手書きよりオーダーエントリーシステムを導入したほうが、ミスやタイムロスを大幅に削減できます。オーダーはリアルタイムで厨房に届けられ、POSレジとも連動しているので、オーダーから会計までスムーズに処理することができます。
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【回転率対策②】理想のテーブルサイズでスムーズな案内を目指す


 テーブルサイズもポイントです。料理が乗り切らないほど小さなテーブルは問題ですが、こまめに空いた皿を下げる必要があるサイズのテーブルであれば、お客さまが退店される際はテーブルの上は必要最低限の空いた食器のみになっているはずです。片付けにかける時間が短くなり、次のお客さまをスムーズに案内できますよね。これで回転率はぐんと上がります。お客さまの待ち時間も短くなり、顧客満足度にもつながります。

【回転率対策③】あえて居心地を良くしすぎない


 居心地の良いお店は、何度でも通いたくなるもの。リピーターの獲得にはとても大切な要素ですが、回転率を考えると、あまり居心地が良すぎるのも考えものです。あえてWi-Fiや電源を開放したりせずに、全席禁煙にするなどの方法で、長居しにくい環境を作ることも必要です。

 また、飲み放題の時間を短めに設定することで、回転率を上げることもできます。座り心地が良いソファ席や、コーヒーのお替わり自由など、ついついお客さまが長居してしまうサービスも見直してみましょう。集客に影響しない範囲でお客さまの滞在時間を短くする工夫が必要です。

 

【回転率対策④】料理の提供時間を短縮する


 いくら客席の無駄やオペレーションの改善をおこなっても、料理の提供が遅くては回転率も悪いうえ、お客さまもストレスをためてしまいます。オーダーがあってから、料理を提供するまでの時間を縮めることも大切です。物の配置や導線、オペレーションを見直してみましょう。

【稼働率対策①】上手なオペレーションと自由自在の席構成

 
 4人席に1人のお客さまを案内した場合、3席は無駄になり、稼働率は下がります。カウンターのある店ならば、1人の場合はカウンターへ、大勢の場合はテーブル席へ、上手なオペレーションを行いましょう。
 ほかにも、2人席の小さなテーブルのみにすることで、自由に席数を操作できるようにしておくと、お客さまの人数に合わせた席を作ることができます。死に席を作らないことで、稼働率を上げましょう。
 

【稼働率対策②】相席のすすめ


 稼働率を上げるための効果的な対策のひとつに、お客さま同士で相席をしてもらうことも挙げられます。ですがお客さまとしては、「稼働率を上げたい。」という店側の都合で、せっかくの食事の時間を見ず知らずの人と同じ席で過ごすのは、どこか損をした気分にもなりますよね。
 そこで考えたいのが、お客さまにとって“相席をすることで生まれるお得感”を提供すること。例えば“トッピングやドリンクのサービス”、“割引券の配布”など、相席を承諾してくれた双方のお客さまに対してお得なサービスを提供することで、相席をラッキーなこととして捉えてもらうことが重要です。
 

客単価と回転数と集客のバランスが重要!


 一口に回転数を上げれば良いものではありません。アイドルタイムなどで客席に余裕がある時に回転数を上げることを優先させる必要はないですよね。飲食店の売り上げは、集客と客単価と回転数のバランスが大事です。

売上=集客×客単価×回転率


 お店のコンセプト、立地、土地柄、営業時間、ターゲットなどで、理想的な店づくりはまるで変わってきます。
 最近では、回転率を上げることで売り上げアップを目指すファストフード店などでも、WI-Fiや電源を開放し居心地の良い環境を整えている場合があります。
 そこで同時に行っているのが、今までよりも客単価を上げたワンランク上のメニューを提供すること。このように、回転率と客単価のバランスを検討していくことが重要です。

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 飲食店の売り上げは、お客さまに沢山利用してもらうことが肝心。とは言いつつも、回転率や稼働率ばかりに気を取られ、本来のサービスの質が落ちてしまっては、お客様も離れてしまいます。

 お店のコンセプトや業態を踏まえたうえで、まずは自分の店がどの方向性で営業するかを見直し、回転率や稼働率を上げるために何が必要かを見極めることが大切です。
 

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2020/09/28