開業手続き

動物系カフェ開業「アニマルカフェ」を開く時に必要な資格や許可を調べてみた

開店ポータル編集部
2018/06/26

 いまやカフェは、おいしいドリンクやデザート、食事を楽しむだけの場所ではありません。犬や猫、フクロウや小鳥、爬虫類やハリネズミ…さまざまな動物と触れ合えるアニマルカフェが人気を博すようになり、多くのお客さまに癒しの時間を提供しています。

 経営者は自分の好きな動物と一緒にお客さまをおもてなしできる、そんな夢のようなアニマルカフェですが、そう簡単な話ではありません。お店を経営するだけでも大変なのに、一緒に働く従業員は動物たちです。言葉も通じなければ、営業後も定休日も、彼らのお世話が待っています。

 一緒に働き、生活を共にするのですから、それ相応の責任と覚悟が必要になることは言うまでもありません。そして、飲食店を開業するさいの手続きにプラスしておこなわなければならないこともあります。本記事ではアニマルカフェを開業するにあたって、必要な資格や許可についてみていきましょう。

アニマルカフェを開業するために必要な手続き


 まず、アニマルカフェを開業するための、一連の手続きを確認しましょう。
 申請する内容の基本は、猫、犬、ウサギなど種類を問わず同じものとなります。
 
1.営業許可の取得
2.第一種動物取扱業の登録
3.動物取扱責任者の選定
4.ペットフードの製造と販売に関する届出
※犬猫のみ
5.消防署への届出
6.税務署への届出

申請方法や要件の詳細

1.営業許可の取得

  お客さまに食事を提供する場合は、一般のカフェと同じく保健所から営業許可を取得する必要があります。
 自治体によっては、アニマルカフェに特化した基準を設けている場合もあり、衛生面に関してはより厳しく審査されることもあります。

 ■料理を提供する場合:飲食店営業許可
 ■飲物と簡単な菓子類の提供:喫茶店営業許可
 ■他に菓子類等の販売:食品製造業許可


飲食店開業のために必要な手続き~営業許可~【保健所編】コチラ>>>

 

2.第一種動物取扱業の登録

 これは、実験動物や産業動物を除く、哺乳類、鳥類、爬虫類が対象の登録制度です。営利を目的とし、下記業種に該当する場合は必ず届け出ましょう。

 必要に応じて各都道府県の担当者による検査も行われます。犬や猫の動物たちが、カフェスタッフとしてお客さまとの触れ合いサービスを行う場合は下記業種の「展示」にあたります。また、カフェで動物を預かる場合は「保管」の登録も必要になります。
 ※ペット同伴で食事ができるスタイルのカフェは、この登録は必要ありません。
 

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■該当する業種
販売:ペットショップ・ブリーダー・ブローカーなど
保管:トリマー・ペットホテル・ペットサロン・ペットシッターなど
貸出:ペットレンタル・ペットモデル・タレント犬など
訓練:ドッグトレーナー・ペットトレーニングなど
展示:動物園・水族館・動物ふれあいパークなど
競りあっせん業:会場でおこなう動物のオークションなど
譲受飼養業:老犬などを有償で動物を譲り受けて飼養する業務
 

■申請方法
上記種別ごとに申請
 

■申請場所
管轄の保健所か動物愛護センター
 

■守るべき事項
動物取扱責任者の選定、管理方法、営業施設の構造など
 

■基準、登録違反の場合
業務停止命令、100万円以下の罰金 可能性あり

 

3.動物取扱責任者の選定

 上記の業種に該当する場合は、動物取扱責任者を選定しなければなりません。
 責任者は次の3つのうち、いずれかの要件を満たすことが求められています。

申請したい第一種動物取扱業の種別について、

①半年以上の実務経験があること
②専門学校・スクール(一年以上)を卒業していること
③民間が営む独自の資格を有していること

 

 半年以上でもアルバイト経験があれば条件を満たすことができるので、難しくはないでしょう。
 動物取扱責任者となった人は、各自治体の研修を初回と年に一度受講しなければなりません。

 

4.ペットフードの製造と販売に関する届出 ※犬猫のみ

  お持ち帰り用の犬と猫のペットフードを店内で調理し、販売する際には各都道府県の農政局または地域センターに届け出なければなりません。

 これは愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律に則ったもので、有害な飼料からペットを守るため平成21年6月1日に施行されました。もし、届け出をしなかった場合には罰則があるので、注意してください。

 お持ち帰り用の犬と猫のペットフードを店内で調理し、販売する場合には製造と販売の帳簿をつけ、保管しておくことが義務付けられています。製造したペットフードを店内だけで提供する場合には、手続きの必要はありません。
 


5.消防署への届出

  アニマルカフェであっても、多くのお客さまが来店する場所のため、消防法上の届け出は必要です。

■防火管理者責任届
従業員を含め収容人数が30人を超える場合、営業開始までに届出
■防火対象設備使用開始届
建物を利用する場合、利用開始10日程度前までに届出
■火を使用する設備等の設置届
火を使用する設備を設置する場合、設置前までに届出

飲食店開業のために必要な手続き【消防署編】コチラ>>>

 

6.税務署への届出

 また、個人事業主として以下の項目を、管轄の税務署に届け出る必要があります。
 
開業届
開業から1ヶ月以内
給与支払事務所等の解説届出書(給与支払委がある場合
開業から1ヶ月以内
青色申告承認申請書
開業から2ヶ月以内

飲食店開業のために必要な手続き【税務署編】コチラ>>>

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 このように、アニマルカフェの開業には、通常の飲食店には必要のない資格や許可、届け出が必要となります。手続きが多く大変な点もありますが、お客さまが安心して利用できるようもれなく準備をすすめましょう。

 アニマルカフェ開店後の注意点は、衛生管理・飼育管理を徹底することです。動物の臭いは周辺に伝わります。こまめに掃除をして、動物たちも人間も気持ちよく過ごせる環境づくりが必要です。



 動物たちを従業員とするわけですから、配慮しなければならないこともたくさんあります。たとえばフクロウなどの場合、一日中狭い部屋のなかで、紐に繋いでいてはいけません。ストレスを抱えてしまわないように、人目を気にせず自由に過ごせる時間を設けてあげる必要があります。また、糞尿の匂いが気になるからと彼らにあたえるご飯や水の量を減らすなどのずさんな飼育管理をしてはいけません。きちんと尊重し、快適に過ごせる環境づくりをおこないましょう。

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 このほか、忘れてはいけないのが、動物の愛護及び管理に関する法律です。犬及び猫の販売業者、貸出業者、展示業者の営業時間は20時までと定められています(一定の条件を満たせば22時まで営業可能)。

 生き物を扱うお店として、動物たちの労働・生活環境を整備することで、長く愛されるアニマルカフェを目指しましょう。

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2018/06/26