経理・会計

飲食店開業 経営者の為の財務諸表・コストの基本と会計業務効率化の方法【相談無料】

開店ポータル編集部
2020/02/07
 「貸借対照表」、「損益計算書」、「キャッシュフロー計算書」。これら財務諸表の作成は、飲食店オーナーの必須業務です。どんなお店でも、お客さまからお金(売上)をいただく、仕入先に代金を支払う…というように、お金の動きがあって経営が成り立っているからです。

 お金の流れを把握していなければ、どんなに売上があっても利益が確保できず、倒産に追い込まれる場合もあります。では、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表はどのように作成すればよいでしょうか。

 本記事では、飲食店経営者に知っておいてほしい財務諸表の基礎知識、そして会計業務を効率化させる方法をまとめました。

財務諸表とは?


 財務諸表とは、お店の経営状態を把握し、改善していくために必要な資料のこと。お金の流れや利益がどれくらい出ているかを見るための指標です。財務諸表には、次のものが含まれます。

・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
・営業報告書
・利益処分計画書
・付属明細書


 このうち、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書は「財務三表」と呼ばれ、経営上もっとも重要な資料です。この3つは、それぞれどんな書類なのでしょうか。一つひとつを見ていきましょう。

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)について


 貸借対照表は、ある時点でのお店の財務状態を表した資料です。毎日の取引(お金の動き)を、「勘定科目」と呼ばれる各項目に仕訳して作成します。
 各勘定科目は、「資産」「負債」「純資産」という3つのカテゴリに分けられます。代表的な勘定科目と、それらがどのカテゴリに入るのかをまとめてみました。

「資産」に分けられるもの

・現金…売上金、レジや金庫の中にある現金など
・預金…普通預金、当座預金など
・売掛金…クレジットカードでの売上や、取引先から後日回収する代金など
・棚卸資産…お店で販売している商品や食材などのストック分
・固定資産…店舗や倉庫などの建物
・車両運搬具…宅配車、キッチンカーなど

「負債」に分けられるもの

・買掛金…卸売業者へ後日支払う食材の代金など
・借入金…開業時に金融機関から融資を受けた場合の返済金
・未払金…固定資産(厨房機器やキッチンカーなど)の購入で生じた後払い代金
・預り金…スタッフの給与から天引きした社会保険料や住民税など

「純資産」に分けられるもの

 資本金など。資産から負債を引いたもの

 貸借対照表では、資産と、負債・純資産の合計が同じ金額にならなければなりません。
 「いつ、いくらお金が入ってきて、何にいくら使ったのか」を把握し、お店の財務状態を可視化することが、貸借対照表をつくる目的です。
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損益計算書(そんえきけいさんしょ)について


 損益計算書は、一定期間の利益から経費を差し引き、「結局いくら儲かったのか」を表したもの。
 貸借対照表が「点」で見る資料であるのに対して、こちらは「線」で見る資料です。

 損益計算書は、「収益」「費用」の要素から成り立ちます。今期はいくら稼ぐことができて(収益があって)、どれくらい費用を使って、いくら利益が残っているかを表した資料…というとわかりやすいでしょうか。

 「収益」「費用」にカテゴライズされる勘定科目を挙げてみました。

「収益」に分けられるもの

・売上…お客さまからいただく、料理やサービスの代金
・受取利息…お店の預金口座を通して受け取る利息
・雑収入…レジの金額が帳簿上の有高と合わない場合の、プラス分の差額
など

「費用」に分けられる勘定科目

・地代家賃…家賃、共益費など
・売上原価…仕入れた食材やドリンク類などの代金
・水道光熱費…電気、ガス、水道の使用料
・通信費…電話料金、インターネット代、DM用のはがき代など
・消耗品費…おしぼり、割り箸、キッチン用品、掃除用品などの購入費
・広告宣伝費…HP制作やチラシ印刷の費用、グルメサイト掲載費、求人広告費など
・給与手当…スタッフのお給料、交通費など
・事務用品費…レジロール、伝票、コピー用紙、筆記用具などの購入費
・支払利息…借入金を返済する際の利息
・雑損失…レジの金額が帳簿上の有高と合わない場合の、マイナス分の差額

 お店の経営状態を知る指標として、損益計算書はとくに重要です。なぜなら、「売上が多かったけれど、経費がかさんでしまった」「前月より売上が落ちたけれど、コストカットができたので利益が出た」といった財務状況が把握でき、取るべき対策が見えてくるからです。

キャッシュフロー計算書について


 キャッシュフロー計算書は、一定期間におけるお店の現金の流れ(増減)を表したもので、上場企業に作成が義務づけられています。
 しかし個人店であっても、資金繰り表(月単位のキャッシュフロー計算書)を作成し、お金の流れを把握しておくべきでしょう。

 では、なぜお金の流れを把握するべきなのでしょうか?それは、会計上の利益と、手元にある資金の額にはズレがあるからです。

 たとえばレストランで、5,000円のディナーコースが売れました。お客さまがクレジットカードで支払った場合、入金は後日になります。入金までは手元に現金がないため、その分を各種支払いに充てることができません。

 このように「繁盛しているのにお金がない」状態が続けば、さまざまな支払いが滞り、倒産の道まっしぐら。それを防ぐために、資金繰り表で手元のお金の増減を確かめるのです。

 資金繰り表を作成するときはまず、月初に手元の現金にプラスするものと、手元の現金からマイナスするものを予測します。

①月初、手元の現金にプラスするもの

・現金による当月の売上予測額
・当月のクレジット入金予定額

②月初、手元の現金からマイナスするもの

・家賃や人件費などの固定費や、仕入れ代金
・水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費、リース代などを含めた月末の予定支出
・借入金の返済、利息

 月初に手元にある現金に①をプラスしたものから②を差し引くと、月末に手元にある金額が予測できます。手元の資金が月初からプラスになり、徐々に増えていくのが理想の経営です。
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会計業務で重視すべき、FLコストとFLRコスト


 財務諸表を作成していると、経営を安定させるためには「費用(コスト)を減らし、利益を多く出すこと」が重要であることに気づくと思います。
 料理やサービスの質を上げて売上がアップしても、あらゆるコストがかさんでいては、手元に残る利益は少なくなってしまうのです。

 利益率を上げるために、どんなコストがどれだけかかっているのかを分析してみましょう。そこで登場するのが、「FLコスト」「FLRコスト」という考え方です。
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FLコストについて


 FLコストとは、F(Food=食材費)とL(Labor=人件費)の合計が、売上に対して占める割合を意味します。FLコストが売上の50%以下であれば、安定した経営ができているといえます。

 FLコストの比率が50%を超えている場合、食材費や人件費が経営を圧迫している可能性があります。次のような工夫で、コスト削減に努めましょう。

①Fコストの削減(理想は売上の30%)

メニューの品数を絞る
 メニューを絞ると、仕入れの無駄を防げるため、余らせたり廃棄したりする食材がなくなります。看板メニューやこだわりのメニューに絞って勝負することは、お店のファンを増やすためにも効果的です。

オーバーポーションを防ぐ
 オーバーポーションとは、食材や調味料を規定量より多く使ってしまうこと。メニューそれぞれにきちんとしたレシピを設け、規定量を守って調理しましょう。

ひとつの食材を使い回す
 キャベツをお好み焼き、ロールキャベツ、お通しの浅漬けに応用するように、ひとつの食材でできるメニューのバリエーションを増やしましょう。あれこれと食材を仕入れずに済みますし、余らせることもなくなります。

仕入れ先を見直す
 同じ野菜でも、根菜類はA社が安く、葉物はB社が安いというように、卸売業者をひとつに絞らないほうがお得な場合もあります。長年付き合いのある業者がいる場合は、少しでも安く仕入れられるよう価格交渉をしてみましょう。

②Lコストの削減(理想は売上の20%)

業務を効率化する
 POSレジ、タッチパネル式のオーダー端末、食器洗浄機などの設備を導入し、人手が足りなくても業務が滞らない環境にしましょう。

シフトを調整する
 お客さまが少ない時間帯にスタッフが大勢いても、人件費が無駄になるばかりです。シフトや労働時間を調整し、最低限の人数で回せるようにしましょう。また、採用を見直し、現在の人数でやりくりできないか検討するのも大切です。
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FLRコストについて


 FLコストにRコスト(Rent=家賃)をプラスした「FLRコスト」の比率は、売上の60~70%が目安です。
 また、家賃と共益費の合計は、売上の10~20%に抑えることが理想です。これを超える場合、Rコストが経営を圧迫していると考えられます。

 売上に対して家賃が高すぎることがわかっても、別の物件を契約するとなればさらに費用がかかります。そう簡単に引っ越しはできません。

 しかし不動産価値は常に変動しているため、知らず知らずのうちに、周辺の相場と比べて高い家賃を支払っている場合もあります。
 おすすめなのが、「賃料適正化サービス」を利用すること。土地や建物の状況、借主・貸主双方の事情などを考慮に入れ、プロが家賃の引き下げ交渉をしてくれます。
 成果報酬制の業者が多く、家賃の減額ができなかった場合は無料になることも。気軽に相談してみましょう。

会計業務は、無理せずプロに任せよう


 会計業務には、ある程度の簿記の知識と、日々の取引を欠かさず記録していく根性が必要です。月末の忙しい時期には、ますます計算に追われることになるでしょう。
 しかし、途中の計算ミスで帳簿の金額が合わないと、すべてが一からやり直し。現場が勝負の飲食店では、会計業務に多くの時間を割く余裕はありません。これを解決するためには、会計業務を効率化させる必要があります。

 「知識も時間もないのに、しっかり会計業務をこなせるかな?」そんな不安が少しでもあるなら、無理に自力でおこなってはなりません。資金繰りも含めた会計業務は、その道のプロである税理士に依頼してしまいましょう。

 税理士の見つけ方がわからない方や、費用に不安のある方はぜひ、開店ポータルBizにご相談ください。飲食業界に強い、業界最安値の税理士をご紹介します。

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 貸借対照表や損益計算書などの財務諸表なくして、安定した経営を続けることはできません。お金の動きを通して、削減すべきコストや有効な対策を教えてくれる、道しるべのような資料だからです。財務諸表についての基礎知識や、作成する意義をきちんと理解しておきましょう。

 そして大切なのは、決して無理をせず、会計業務をプロの税理士に任せてしまうこと。不安を手放し、調理や接客、お店のクレンリネスといった本来やるべき業務に専念できるようにしてください。
 開店ポータルBizでは、飲食業界に強い税理士探し、店舗運営にかかるコスト削減のほか、資金調達サービス、地域やお店にあった集客方法・HPやSNS運用についてのご相談を無料で承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!
開店ポータル編集部
2020/02/07