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現金主義のサイゼリヤが一部店舗でキャッシュレス決済を導入!その理由についてリサーチしてみた

開店ポータル編集部
2019/11/24
 国内に1,085店舗、海外に384店舗をチェーン展開する、イタリア料理店『サイゼリヤ』(2019年8月時点)。本格的なイタリア料理にもかかわらずメニューのほとんどが500円以内と安いことから、老若男女を問わず幅広い世代の人々に人気です。

 そんな同社について、多くのユーザーがある疑問を抱えています。それは、近年のキャッシュレス化の波のなか、あくまで「現金払い」にこだわっていること。

 飲食店の多くが、利便性の向上やインバウンド集客を意識して、キャッシュレス決済を導入している近年。サイゼリヤが現金主義の方針をつらぬく理由と、最近の動きについて調べてみました。

「現金払いのみ」にこだわってきたサイゼリヤ


サイゼリヤ HP:https://www.saizeriya.co.jp/

 キャッシュレス決済には、「現金を持ち歩かずに済む」「支払いが簡単」といったメリットが多く、飲食店や小売店、各種施設などさまざまな場所で導入が進んでいます。
 近年では「PayPay」「楽天ペイ」などのQRコード決済も数多くリリースされ、各社のキャンペーン、政府によるポイント還元政策などがおこなわれています。

★ポイント還元政策について詳しく知りたい方はこちら★
飲食店のQRコード決済導入メリット、キャッシュレス・消費者還元事業とは

 しかしサイゼリヤでは、一部店舗(ショッピングモールなど、「キャッシュレス決済OK」が出店条件であるテナントのお店)を除き、基本的に現金払いのみ。
 クレジットカードやデビットカード、EdyやSUICAなどの電子マネー、ギフトカードなどの金券類、QRコード決済はすべて利用できないのです。

サイゼリヤがキャッシュレス決済を導入しない理由

 サイゼリヤほどの大手チェーンがキャッシュレス決済を導入しないのは、なぜなのでしょうか。サイゼリヤの経営理念から、その理由を考えてみました。

目指すのは、「安さ」と「おいしさ」の両立

 サイゼリヤの企業理念として、「リーズナブルな価格とおいしさという矛盾する難題に取り組む」といったものがあります。これは「日本の食をゆたかにしたい」という創業者の想いからくるものです。

 同社は、自社で畑を持ち、トマトやレタス、お米などを開発・栽培しています。さらに、「ビーフ大国&ミルク大国」のオーストラリアに自社工場をかまえ、ホワイトソースやハンバーグを低コストで製造。グラスワイン100円という驚きの価格は、本場イタリアにぶどう畑をつくり、サイゼリヤ専用のタンクで製造することで実現しています。
 素材にこだわりつつ、商品の開発、生産・加工、配送までを自社でおこなうことで、余分なコストをとことんカット。これにより、「安さ」と「おいしさ」を両立しているのです。

手数料による損失分を、価格に上乗せしたくない

 クレジットカードで決済をすると、決済総額の3~5%の手数料が発生します。たとえば、サイゼリヤの定番メニュー「ミラノ風ドリア(299円)」が売れたとします。手数料が5%とすると、お店はカード会社に299×0.05=15円を支払わなければなりません。
 手数料がたったの15円でも、ミラノ風ドリアは一日に数えきれないほどオーダーの入る人気メニューです。それが全国1,000以上の店舗で、何か月、何年間と続けば、膨大な損失になるのは目に見えています。
 つまり利益を維持するためには、この15円を商品価格に上乗せするしかないのです。

★おすすめ記事;「キャッシュレス」がよくわからない方はこちら★
キャッシュレス化の問題点と推進される理由

 少しでも安い価格で、ひとりでも多くのお客さまにおいしい食事を提供したいと考えるサイゼリヤにとって、「増やさなくてよいコストを増やすこと」にも、「価格を上げること」にもメリットはありません。これが、現金主義の姿勢をつらぬいてきた理由だと考えられます。

いずれはキャッシュレス化する予定だった?


 しかし最近になって、「サイゼリヤの一部店舗(ショッピングセンター内など以外の店舗)で、キャッシュレス決済がOKになった」というSNSでの報告が話題になりました。
 サイゼリヤが、キャッシュレス化の道へ歩みだした理由は何なのでしょうか?

 サイゼリヤ社長の堀埜(ほりの)氏は、『日経ビジネス』のインタビューに対し、「最終的には乗るんですよ。キャッシュレスはやるんです。」と話しています。キャッシュレス決済の導入を見送っていたのは、「決済端末の開発速度を見ていたから」なのだとか。

 サイゼリヤは、全国に1,000店舗以上ある大型レストランチェーン。そこにキャッシュレス決済用の端末を導入するとなると、億単位のコストがかかります。そのうえ、キャッシュレス決済は日々進化し続け、開発が進んでいる分野。変化に弱い端末を購入してしまうと、新しい決済方法が入ってきたときに対応できなくなる可能性もあります。キャッシュレス決済の導入自体を先送りにすることで、そのリスクを抑えていたというわけですね。

 決済手数料についても、堀埜社長は、「キャッシュレス決済をはじめたことでお客さまが増えたら、収入も増える。本格的にキャッシュレス決済を導入するのであれば、そのときだ。」と話しています。手数料が3%かかるなら、売上が5%増えればそれでいい。そのタイミングがいつになるかだ、と考えているようです。
 

現金主義も悪くはないけれど…。


 サイゼリヤは、キャッシュレス決済の導入による効果をはかるため、一部の店舗での実証実験をおこなっている最中。そのため、すぐに全国の店舗でキャッシュレス決済ができるようになるわけではありません。
 しかし、キャッシュレス化に向けて動き出していることは確実で、2020年のオリンピックの時期を見据えて、首都圏を中心とした展開を考えているそうです。

 サイゼリヤのように、「現金払いのみ」の姿勢をつらぬく飲食店も少なくはありません。しかし、忙しい時間帯のレジの混雑や会計ミス、レジ締め業務にかかる手間や盗難被害のおそれを考えると、キャッシュレス決済の導入がもたらすメリットは小さいものではありません。
 レジ業務を効率化し、もっとも力を入れるべき業務に身を入れられるようになれば、より質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

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 キャッシュレス決済をはじめるには、レジに専用機器をそろえる必要があるため、「初期費用がかかるから」と導入に踏み切れないお店も多いでしょう。しかし、続々とリリースされているQRコード決済であれば、導入のハードルはぐっと下がります。なかには、アプリを決済用スマートフォンやタブレットにダウンロードし、QRコードをレジに置くだけで完結するものも。高額な端末を購入せずに、手軽にはじめられる決済サービスが増えています。

 現金主義だったサイゼリヤが動き出したこともあり、ますます進んでいくとみられる飲食店のキャッシュレス化。あなたのお店では、もうはじめていますか?
 「LINE Pay」のように、期間(2021年7月)限定で決済手数料を無料にしているサービスもあります。まだキャッシュレス化に踏み切っていないお店は、手数料の無料期間を利用して、実験的に導入してみるのもいいかもしれません。

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開店ポータル編集部
2019/11/24