経営支援

飲食店経営「失敗する人」と「成功する人」の違いは?

開店ポータル編集部
2019/08/27
 飲食業界は、未経験者でも足を踏み入れやすい一方、とても失敗しやすいビジネス。高額な資金を投じてお店を開いても、たった数か月で廃業に追い込まれることもあります。

 飲食店の経営において、失敗する人と成功する人の違いは何でしょうか。

「自分本位のお店づくり」は命取り


 飲食店経営の失敗のはじまりは、自分本位のお店づくりをしてしまうこと。つまり、マーケティングの軽視です。

 「自分の理想のお店をつくりたい」という気持ちは、誰もが持っていて当たり前。「こんなメニューを提供したい」、「こんなサービスが喜ばれるに違いない」とわくわくしながら、開業準備をしている方がほとんどでしょう。

 でも、あなたが提供したい料理やお店のスタイルは、その地域のお客様が求めているものとマッチするでしょうか。立ち止まって考えずに、「自分がやりたいこと」ばかりを見て突き進むのは危険です。

廃業まっしぐら!?失敗するお店のストーリー

 自分本位のお店づくりが、その後の失敗につながっていくプロセスをご説明します。

① 集客ができないから、売上が立たない
 新しいお店がオープンすると、興味をひかれて多くのお客様が集まります。

 でも、オープン景気で賑わうのは最初の数か月だけ。その後は、売上が低迷する時期がやってきます。お客様が定着するまでには、短くとも1年はかかるでしょう。

 地域のニーズにマッチしない開業をすると、オープン景気が落ち着いたあと、集客のハードルが上がります。なぜなら、その地域のお客様にとって、普段づかいしたいと思える魅力がないから。売上が伸びずに頭を抱える期間が、さらに長くなるのです。

② 売上が立たないから、利益が出ない
 飲食店は、非常に利益率の低い業種です。1,000円のランチを売り上げても、1,000円の利益にはなりません。食材原価をはじめ、光熱費や人件費などの必要経費が差し引かれるからです。

 だからこそ、新しくオープンしたお店にとっては、ひとりでも多くのお客様を集めて売上を増やすことが大切。満足な集客ができなければ売上も立たず、営業を続けるために必要な利益を出すことができません。

③ 利益が出ないから、経営が行き詰まる
 飲食店の利益は、サラリーマンの手取りのお給料と同じ。これがないと、固定費の支払いはもちろん、オーナー自身の生活費に充てるお金も確保できません。

 開業だけでも数百万円のお金がかかっているのに、家賃や光熱費、食材の仕入れ代、人件費など、挙げればきりがないほどのお金が毎月出ていきます。身内や金融機関から開業資金を借りたなら、その返済にも追われることになるでしょう。

 さまざまな支払いが滞れば、営業を続けるどころではなくなってしまい、廃業せざるを得ない事態に陥ってしまいます。

お店を成功させたオーナーがしていた3つのこと

 お客様の心をつかみ、安定した利益を出しながら営業を続けていく。そんなサイクルをつくることができたオーナーの、3つのアクションをご紹介します。

① はじめから店舗を持たない
 「お客様に自分の料理を食べてほしい」と願ってお店を開くのなら、店舗を持たないという選択肢もあります。

 お客様のところへ出向いて料理をする、キッチンカーで移動販売をする、ほかの店舗を間借りして夜だけ営業する…今はさまざまなスタイルが選べる時代です。フルタイムで物件を借り、設備をきっちり揃えるより、ぐっとコストを抑えられるのではないでしょうか。

 はじめから店舗を持たない場合、プレマーケティングも可能になります。どの層からのニーズがあるかを見極め、こつこつファンをつくって知名度を上げ、資金を貯める。そして満を持してお店をかまえれば、失敗のリスクが格段に減ります。

② クラウドファンディングで開業資金を集める
 経営が立ち行かなければ、家族や金融機関にお金を返すことができなくなります。そんなリスクを避けるための提案が、未来のお客様に投資をしてもらうクラウドファンディングです。

 クラウドファンディングでは、うまくいけば1,000万円単位の開業資金を集めることができます。全国の人たちから、お店づくりに関する意見を募れるのもメリットでしょう。

 クラウドファンディングに参加する人は、お店のコンセプトに共感してくれた方々。「このお店に投資した」という意識があるため、オープン後にはお客様になってくれる可能性も高いです。資金を集めるだけでなく、店舗がかたちになる前からファンを増やし、売上の基盤をつくることができます。

③プレオープンでお店をブラッシュアップ
 お客様のほとんどは、不満があっても遠慮してしまい言ってくれません。「ここを改善してほしい」と声に出さず、そのまま二度と来てくれなくなる場合が多いです。これでは来客数の増加も見込めず、売上を増やすどころではありません。

 ぜひ、プレオープンの期間をもうけましょう。プレオープンの役割は、地域のお客様へのあいさつだけではありません。お店はまだ「準備中」の状態なので、訪れる人から遠慮なく改善点を指摘してもらえます。

 プレオープンには、飲食店で働く知人など、お店の良し悪しを見る目がある人も招きましょう。「トイレの開け閉めが気になる」「空調が直に当たって寒い」など客観的な意見をもらって、お店をブラッシュアップできます。

失敗する人と成功する人の違いは…

 カフェも居酒屋もレストランも、お客様の心を掴めなければ営業を続けられません。飲食店は、お客様からいただく売上ありきの経営だからです。

 飲食店の経営に失敗する人と成功する人の違いは、店舗がかたちになる前から、お店のファンを増やす努力ができているかどうか。

 マーケティングやクラウドファンディング、プレオープンなどを利用して、未来のお客様とつながっていきましょう。
 
開店ポータル編集部
2019/08/27