スタッフ育成

店の印象を左右する来店・オーダー・見送りそれぞれの接客のポイント

開店ポータル編集部
2019/02/19
 お客さまに気持ちの良い食事の時間を過ごしてもらうためには、料理の味だけではなく接客の質も重要です。スタッフの対応が悪かったり、サービスが不十分だったりしては、お店の印象が悪くなってしまいます。

 数ある飲食店のなかからせっかくあなたのお店を選んでくれたお客さまには、できるだけ良い印象を持ってもらいたいですよね。そこで、本記事では注意すべき接客のポイントを、来店、オーダー、見送りの3つのシーンに分けてご説明します。

接客の質の向上がお客さま満足度の向上に繋がる

 接客で重要なのは、来店してくれたお客さまにおもてなしの心をもって対応することです。接客を大切にしているお店はそれだけお客さまを大切にしていると考えられ、快適な時間を過ごしてもらいたいという想いが感じられます。それがお客さまに伝わり、結果的にお客さま満足度の向上に繋がります。

 また、お店に付加価値をつける効果もあります。料理がおいしいうえに接客の質が高ければ、また行こうと思ってもらいやすくなり、来客数アップも期待できます。

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接客のポイント ~来店編~


 お店の印象は、お客さまが来店した時の接客でほぼ決まってしまいます。良い印象は些細なことで悪いものに変わってしまいますが、悪い印象を良くするのはとても大変なこと。お客さまに気持ち良く来店していただき、食事を楽しんでもらうためには最初が肝心です。
 お客さまが来店した時に気をつけるべきポイントは、以下の6つです。

1.「いらっしゃいませ!」と笑顔で明るくあいさつする
2.お辞儀を加えて丁寧な印象を与える
3.人数や希望を確認して、スマートに席へ誘導する
4.待ち時間の案内を忘れずにおこなう
5.席が前後する場合には声をかける
6.相席の可能性は事前に伝える


 一つずつみていきましょう。

1.「いらっしゃいませ!」と笑顔で明るくあいさつする

 まずは、基本中の基本であるあいさつ。お客さまが来店したとほぼ同時に「いらっしゃいませ!」と笑顔で元気よく声をかけましょう。歓迎ムードをつくるためにも、対応するスタッフだけでなくできるだけ全員ですることが望ましいです。

 来店にすぐ気付くためには常に出入り口に気を配っておく必要がありますが、忙しいとなかなかそうはいかないもの。そのため、ドアを開閉すると音が鳴るシステムなどを取り入れて対策をとっているお店が多くあります。せっかくお客さまが来店したのに、誰も気付かずあいさつがない…なんてことにならないように気を付けましょう。

2.お辞儀を加えて丁寧な印象を与える

 「いらっしゃいませ!」のあいさつにあわせてお辞儀もしましょう。言葉だけのあいさつよりも丁寧に感じられます。お客さまに視線を向け、その後ひざに視線を落とすのが美しいお辞儀とされています。背筋をのばした状態で上体を30度ほど折るとなお良いです。

 あいさつの時はもちろんですが、お辞儀の後もきちんとお客さまの目を見ることがポイントです。一礼あるのとないのとでは受ける印象が大きく異なるため、自然とおこなえるよう日頃からスタッフ全員で徹底しましょう。

3.人数や希望を確認して、スマートに席へ誘導する

 お店が混み合う時間帯などは、お客さまの対応をすぐにできないこともあるはずです。そのような時には「ただいまご案内しますので少々お待ちください。」など一言声をかけましょう。入り口付近にその旨を記したボードを立てておくとわかりやすいですね。アナウンスもないまま放っておかれると、席に案内してくれるのか勝手に座ってしまって良いのかわからず、お客さまを困惑させてしまいます。

 席へ案内する時は人数のほか、喫煙可のお店であればタバコを吸うかどうかの確認をしましょう。席に余裕があれば席種の希望を聞くのも良いですね。オペレーションしやすい席配置を考慮しつつ、希望にそった席を用意し、先頭に立ってスマートに誘導するのが客席案内の理想です。

4.待ち時間の案内を忘れずにおこなう

 満席時にお客さまが来店されたときは「申し訳ございません。」と一言お詫びをしてから満席の旨を伝えます。
 オフィス街の中にあるお店の場合、特にランチタイムは休憩時間の都合で時間に限りのある場合が多く、人よって待てる時間の許容範囲が異なります。お客さまの大切な時間を無駄にしないためにも、おおよその待ち時間を伝えてあげると親切です。
 待ち時間を減らす対策として最近増えているのが、順番待ちシステムの導入です。このシステムは、順番が近づいたら電話やメールでお知らせが届くもの。お店にとっては店内の混雑を回避できますし、お客さまにとっては待ち時間を店外で過ごせるといったメリットがあります。お待たせしてしまうことが多いお店は、このようなシステムの導入を検討してみるのも良いですね。 

5.席が前後する場合には声をかける

 満席時などは、用意が整っている席種とお客さまの希望によって、先に待っていた方よりも後に来店された方を先に案内することもありますよね。

 例えば、喫煙席に空きが出たが次のお客さまは禁煙席を希望している場合次に待っているのはボックス席希望のグループ客だが空いたのは一人分のカウンター席といった場合です。その際、希望とは異なる席が空いたことを伝えたうえで、お客さまの判断を仰ぎましょう。ただし後者のようなケースであれば、お店側で判断してしまって良い場合もあります。いずれにせよ順番が前後する案内になるのであれば、先に待っているお客さまに了承を得てから案内にうつらなければなりません。

 いくら希望と条件が違うからとはいえ、勝手に順番を変えて案内をするのはお店の印象を悪くしてしまうので注意してください。「混雑時にはご案内の順番が前後する場合があります。」などの旨を記したボードを立てておくのも良いですね。

6.相席の可能性は事前に伝える

 お店にもよりますが、混雑状況によっては相席をお願いする場面もあるでしょう。しかし、お客さまのなかには相席をしたくない方もいます。相席の可能性があるならば、入店時にあらかじめ断りを入れておくか、張り紙などでその旨を示しておく必要があります。
 ただし、その旨を伝えているからといって、いきなり相席にさせてはいけません。先に席に着いている方と後から来た方の双方に相席になることを伝え、了承をとってから案内しましょう。お客さま同士が気まずくならないよう、気を配ることが大切です。

接客のポイント ~オーダー編~


 オーダーをとるのに時間がかかってしまったり、品切れやオーダーミスの多発など、サービスが悪いとお客さまもがっかりです。食事をする前から気分が下がってしまえば、そのあとの料理も楽しんでもらえなくなってしまいます。時にはクレームの原因ともなりうるので、しっかりと注意しなければなりません。

 オーダーをとる時に気をつけるべきポイントは、以下の5つです。

1.様子をうかがってベストタイミングを図る
2.メニュー内容を把握して正確に伝える
3.品切れなどは事前に断りを入れる
4.注文内容の確認でオーダーミスを防ぐ
5.セルフサービスの案内をする


 一つずつみていきましょう。

1.様子をうかがってベストタイミングを図る

 スタッフに気付いてもらうために声をはったり手を挙げることは、お客さまに苦痛を感じさせる場合も。そういった思いをさせないためにも、フロアの様子、お客さまの様子をこまめに確認するよう心がけましょう。

 最近では呼び出しボタンを各テーブルに置いているお店も増えています。フロアが広いお店や賑やかな雰囲気のお店であれば、呼び出しボタンを導入するのがおすすめです。お客さまは気兼ねなくスタッフを呼べて、スタッフもオーダーをとるタイミングがわかりやすいので双方にメリットがありますよ。

2.メニュー内容を把握して正確に伝える

 オーダー時、お客さまから料理についての質問を受けることもあるはず。たとえば、おすすめのメニューや使っている食材、どういった料理でどのような味なのか、提供にどれだけ時間がかかるのかなどです。特に使っている食材に関する質問は、アレルギーが理由で尋ねるお客さまもいます。命に関わることもあるので、曖昧なまま答えてはいけません。わからない場合は、先輩スタッフやキッチン担当に確認後、正確な情報を伝えるように徹底しましょう。
 たとえ新人やアルバイトであったとしても、お客さまにとっては“お店のスタッフ”とひとくくり。いざ聞かれた時に慌てず対応できるよう、メニュー内容はしっかりと頭に入れておきましょう。

3.品切れなどは事前に断りを入れる

 あらかじめ提供に時間がかかるとわかっている料理は、注文を受けたタイミングで“時間がかかること”と“提供時間の目安”を伝えてあげましょう。事前に伝えることができれば、お客さまが待ち時間を不快に感じることもなくなります。
 品切れのメニューがある場合には、席に案内したタイミングで伝えましょう。営業中に急遽品切れになる可能性もあるので、何が提供できないのかリアルタイムで把握しておかなければなりません。残数が少なくなってきたら、注文が入るたびに確認するようにしましょう。勝手な判断はトラブルの原因となるので注意してください。

4.注文内容の確認でオーダーミスを防ぐ

 オーダーミス防止のためにも、注文内容に間違いがないか復唱してしっかりと確認しましょう。声に出して繰り返すことで、聞き間違いによるミスを防げます。お客さまにも聞こえる声でハキハキと、そしてスタッフ間で使っているメニュー名の略称は使わないよう注意してください。お客さまに通じなければ確認の意味がなく、もし通じたとしてもあまり良い印象は持たれません。
 復唱はミスの防止だけでなく、正しく注文が通っているとお客さまに安心してもらえる効果もあります。大切な一手間なので、お店が混雑している時でも怠らないようにしてください。

5.セルフサービスの案内をする

 最近では、水やおしぼりなどをセルフサービスで用意するお店が増えています。この場合、お客さまを席に案内したタイミングや注文をとるタイミングで、セルフサービスである旨を伝える必要があります。伝え漏れが起きれば、いくら待っても運ばれてこないと不快感を与えてしまいます。万が一セルフサービスに気付いたとしても、案内がないのは不親切だと印象が悪くなってしまうでしょう。

接客のポイント ~見送り編~


 退店時に感じる接客やサービスの良し悪しが、お客さまがお店にもつ最後の印象です。それまでの対応がいくら良かったとしても、最後がおざなりではすべて台無し。残念な印象を持たれてしまい、再来店の可能性も低くなります。何気ないスタッフの様子を、お客さまは意外と見ているもの。好印象のまま帰ってもらうためには、最後の最後まで気を抜いてはいけません。

 お客さまが退店する時に気をつけるべきポイントは、以下の4つです。

1.感謝の気持ちをもって笑顔で見送る
2.プラスアルファの一言を添える
3.スムーズに帰れるよう先回りの行動をする
4.お客さまが見えなくなるまで見送りを続ける


 一つずつみていきましょう。

1.感謝の気持ちをもって笑顔で見送る

 お客さまが帰る時には、「ありがとうございました!」と笑顔であいさつをしましょう。できるだけスタッフ全員でできるのが望ましいです。たとえお客さまがスタッフの方を見ていなかったとしても、声から表情や気持ちはしっかりと伝わります。裏を返せば、やる気のない態度や適当なあいさつにも気付いてしまうため注意が必要です。来店してくれたことに感謝の気持ちをもって、笑顔で対応することを心がけてください。最後の印象が良ければ、次の来店に繋がることも期待できます。

2.プラスアルファの一言を添える

 見送りのあいさつ時、一言プラスするとさらなる印象アップに繋がります。よく使われるのは「またお待ちしております。」や「気を付けてお帰りください。」など。応用編として、お客さまや天候にあわせて言葉を変えてみるのもおすすめです。
 たとえば雨が降っている日には「足元にお気を付けください。」と声をかけたり、傘の有無の確認、冬なら「寒いのでお気を付けください。」、常連客の場合には差支えない程度の世間話などです。お客さまとの話題が思いつかないようであれば、前もっていくつかレパートリーを用意してから臨みましょう。お得なキャンペーンがあればその案内でも良いですね。

3.スムーズに帰れるよう先回りの行動をする

 会計終了後、お客さまが荷物を整理している間に先回りし、ドアを開けてエスコートしましょう。早く開けすぎると急かしているように思われてしまうので、準備が整ったタイミングにあわせることが大切です。
 また、エレベーターを使う場合は、すぐに乗れるよう呼んでおくと良いでしょう。待たせることなくスムーズな見送りができます。

4.お客さまが見えなくなるまで見送りを続ける

 お客さまがお店を出た後も、姿が見えなくなるまで見送りを続けましょう。店外に出る見送りなら、お客さまが角を曲がるか、ある程度距離が離れるまで。エレベーターならドアが完全に閉まりきるまで、お辞儀を続けるのがポイントです。
 お客さまが不意に振り返った時に、スタッフ同士で私語をしている姿が見えるのと、お辞儀をしている姿が見えるのとでは、印象がまるで違います。最後までしっかりと見送りを続け、好印象のまま帰ってもらいましょう。 

良い印象を持ってもらい愛されるお店を目指そう

 接客次第で良くも悪くもなるお店の印象。今回ご説明したポイントを徹底することで接客の質を高められ、同時にお客さま満足度の向上も図れます。

 どのような対応をすれば気持ち良い時間を過ごせるのか、お客さまの立場となって考えながら接客に取り組みましょう。空き時間に接客のロールプレイングを実施して、スタッフ同士で高め合うのも良いですね。丁寧に対応する真摯な姿勢は、お客さまにも伝わります。些細なことでも対応一つひとつに気を配り、愛されるお店づくりを目指していってください。

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飲食店の接客スタッフがやってはいけないNG行為

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2019/02/19